セッション情報 |
ポスター
胃・十二指腸 高齢者
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タイトル |
P-477:高齢胃がん患者における治療法の選択に関する検討
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演者 |
松浦 俊博(独立法人国立長寿医療研究センター消化器科) |
共同演者 |
京兼 和宏(独立法人国立長寿医療研究センター消化器科), 山田 理(独立法人国立長寿医療研究センター消化器科), 奥田 真紀子(独立法人国立長寿医療研究センター消化器科) |
抄録 |
【目的】胃がんの治療選択に関する学会よりの推奨ガイドラインは一般的状態の患者を念頭において作成されているため,心肺腎機能,認知能が低下している高齢患者には適応できない場合が多く存在する.そこで,高齢胃がん患者に対する治療法選択の現状での認識,考え方,その判断基準についての調査および検討を行った.【方法】平成20年から22年の3年間において当院で治療された高齢胃がん患者に関して選択された治療法,特に,病期からは化学療法を選択すべき症例を中心に,実際に施行された治療の内容,治療効果およびその治療が選択された理由などを検証した.【結果】65歳以上の進行胃がん症例数は115例であり,65歳以上75歳未満の症例は53例(男性33例,女性20例)で,75歳以上の症例は62例(男性28例,女性34例)であった.治療法の選択に関して検討すると,65歳以上75歳未満の患者群では,53例中48例でガイドラインに沿った治療が行われていた.対照的に,75歳以上の患者では,ガイドラインと異なった治療法が選択された症例が27例あった.その要因としては認知症(85%),寝たきり患者(37%),85歳で腎機能が低下して化学療法施行困難な超高齢(40%)が多く認められた.また,65歳以上75歳未満の化学療法施行患者群(A群),65歳以上75歳未満の化学療法未施行患者群(B群),75歳以上の化学療法未施行患者群(C群)に分けて検討したところ.MSTはそれぞれ19.9ヶ月,6.2ヶ月,16.8ヶ月であった.B群の症例数が少ないため有意差は認められなかったが,A群では化療は有用であり,C群(殆どが80歳以上)では化学療法未施行にても生存期間に明らかな差を認めなかった.【結論】特に75歳以上の高齢胃がん患者では必ずしもガイドラインに沿った治療が施行されず,患者個々のADLにより判断されて治療が選択されていた.また,A群とC群では予後に差のない傾向を認めたことから,高齢者では必ずしも標準治療にとらわれず,幅広い選択肢より治療法を選択すべきであると考えられた. |
索引用語 |
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