セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 高齢者

タイトル P-479:

高齢者胃癌患者の内視鏡治療後の適応外病変への手術の必要性の検討

演者 浅川 幸子(山梨大学第一内科)
共同演者 大高 雅彦(山梨大学第一内科), 榎本 信幸(山梨大学第一内科), 河口 賀彦(山梨大学第一外科), 藤井 秀樹(山梨大学第一外科), 望月 邦夫(山梨大学人体病理学), 小馬瀬 一樹(山梨大学第一内科), 末木 良太(山梨大学第一内科), 植竹 智義(山梨大学第一内科), 佐藤 公(山梨大学第一内科)
抄録 <背景と目的>早期胃癌に対する内視鏡切除後の病理組織学的検討により適応外病変(非治癒切除例)であった場合の標準治療は追加外科切除である.高齢者であっても同様である.80歳の人の平均余命は年々伸び86~90歳まで生きる可能性が示された.一方,高齢者では基礎疾患や合併症を有する症例も多く,胃切除後の小胃症という後遺症が問題となる.高齢者における内視鏡治療の適応外病変における長期経過を検討した.<対象と方法>2000年3月~2012年4月までに早期胃癌に対し内視鏡切除が施行された303例のうち,適応外病変と診断されたものは32例であった.適応外病変例には全例に追加胃切除のICを行っているが,16例が経過観察で,16例に追加外科手術が施行された.また1999年~2012年9月までに早期胃癌による胃切除例は224例であった.80歳未満と80歳以上に分けて,内視鏡治療適応外病変における経過観察例と手術例での予後をKaplan-Meier法を用いて比較検討した.<結果>80歳以上の高齢者での早期胃癌例は29例で,経過観察(7例)と手術例(22例)であった.死亡例は経過観察症例ではなく,手術例で3例(心不全,肺炎,現病死)であった.内視鏡治療適応外病変における全生存率では有意差は認められなかった(p=0.481).80歳未満は227例で,経過観察例(9例),手術例(218例)であった.死亡例は経過観察例で2例(心不全,食道癌)で,手術例では26例(現病死7例,他癌死9例,他病死8例,不明2例)を認めた.全生存率に有意差は認めなかった(p=0.123).<考察・結語>単一施設で症例数は少ないが全生存率で内視鏡治療の適応外病変の追加手術例と経過観察例で有意差はなかった.内視鏡治療適応外病変では原則は追加手術の必要があるが,高齢者(80歳以上)では経過観察も治療のオプションとなり得る可能性が示唆された.
索引用語