共同演者 |
光島 徹(亀田メディカルセンター幕張), 高橋 悠(東京大学消化器内科), 坂口 賀基(東京大学消化器内科), 小田島 慎也(東京大学消化器内科), 小野 敏嗣(東京大学消化器内科), 藤城 光弘(東京大学消化器内科), 中山 千恵美(東京大学消化器内科), 小池 和彦(東京大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】コーヒー摂取と上部消化管の主要4良性疾患(胃潰瘍,十二指腸潰瘍,逆流性食道炎,非びらん性胃食道逆流症)との関連を,健常成人8,013人を対象に解析する.【方法】亀田総合病院幕張クリニック人間ドックを2010年10月~2011年7月に受診した健常成人で研究同意を得られた9,517人のうち,胃手術の既往・酸分泌抑制剤内服・ピロリ菌除菌歴のある者を除いた8,013名(男性4,670人,女性3,343人)を解析対象とした.逆流性食道炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍については内視鏡検査で判定し,非びらん性胃食道逆流症(NERD)については内視鏡所見を伴わず,胸焼け・胃酸逆流症状のいずれか1つ以上を呈する者とした.コーヒー摂取・年齢・性別・body mass index(BMI)・ペプシノゲンI/II比・喫煙・飲酒・ピロリ菌抗体価を説明変数として,上記4疾患を目的変数として,ロジスティックモデルによる多変量解析を行なった.【結果】1日のコーヒー摂取量は,3杯以上:2,473人,1~2杯:2,978人,1杯未満:2,562人であり,4疾患の罹患者は,胃潰瘍172人,十二指腸潰瘍282人,逆流性食道炎994人,NERD 1,118人であった.各説明変数データをを標準化した上で多重ロジスティックモデルによる多変量解析を行なったところ,胃潰瘍に関してはピロリ菌感染・高齢者・喫煙・男性が有意な相関を示し,十二指腸潰瘍に関してはピロリ菌感染・ペプシノゲンI/II比高値・低BMI・喫煙が有意な相関を示した.逆流性食道炎(NERD症例を除く6,895人)に関してはピロリ菌非感染・男性・高BMI・ペプシノゲンI/II比高値・高齢者・喫煙・飲酒が有意な相関を示し,NERD(逆流性食道炎症例を除く7,019人)に関しては,若年者・女性・喫煙・BMI高値で有意な相関を認めた.【結論】主要4疾患のいずれも,コーヒー摂取との明らかな相関は認められなかった. |