セッション情報 ポスター

胃・十二指腸 その他

タイトル P-488:

当院におけるアニサキス症の現況

演者 石川 一郎(東京女子医大消化器病センター)
共同演者 奥野 奈央(東京女子医大消化器病センター), 山本 果奈(東京女子医大消化器病センター), 岸野 真衣子(東京女子医大消化器病センター), 小西 洋之(東京女子医大消化器病センター), 中村 真一(東京女子医大消化器病センター), 白鳥 敬子(東京女子医大消化器病センター)
抄録 <目的>我が国では生魚を食べるという特有の食習慣があり,このため消化管寄生虫疾患の一つであるアニサキス症は現在も日常診療で時に遭遇する.当院では約9年間に41例のアニサキス症を経験したので,その臨床像や現況について報告する.<方法>2003年1月から2012年9月までに当院で経験したアニサキス症41例について,患者背景,自覚症状,罹患時期,摂食状況,内視鏡所見,虫体存在部位,隻数について検討した.<結果>男女比は29:12,平均年齢は48.2歳(27~80歳),41例中36例に心窩部痛・上腹部痛・胃痛を認め,うち嘔吐を伴う症例が4例,下痢を伴う症例が1例,皮疹を伴う症例が4例であった.診断時期は3月から5月が7例,6月から8月が9例,9月から11月が16例,12月から2月が9例であった.31例に症状発現3日以前の魚貝類の生食があったことが明らかであり,シメサバ11例,生サバ8例,イカ5例,その他10例であった.虫体存在部位は胃40例,大腸1例であった.虫体数では2隻認めた症例は10例で,他は1隻であった.全例に対して虫体を内視鏡的に除去した.除去後,有症状症例の自覚症状はすみやかに消失した.<考察・結語>当院の41例の検討では,原因や虫体の存在部位ではこれまでの多くの報告との同様で生魚摂取後で胃体部大弯に多かった.罹患時期については,サバ・イワシの漁獲期である12月から3月に多いと報告されているが,当院では通年に存在し,とくに9月から11月に多く認めた.罹患時期が漁獲期と一致しない原因として,地球温暖化による海水温や気象状況の変化,交通・輸送の発達や冷凍技術の進化,またアニサキスの種類の違いなどが考えられた.
索引用語