セッション情報 理事長講演(消化器内視鏡学会)

継続の礎のうえに更なる飛躍を

タイトル 理事長講演1:

継続の礎のうえに更なる飛躍を

演者 田尻 久雄(日本消化器内視鏡学会・理事長)
共同演者
抄録  一般社団法人 日本消化器内視鏡学会の目的には,「消化器内視鏡及びこれを用いた治療法等に関する研究,教育並びに診療の向上を図るとともに,学術及び文化の発展に寄与し,もって人類の福祉に貢献することを目的とする」と謳っている.初代 田坂定孝先生(1959年6月~1981年5月),2代目 﨑田隆夫先生(1981年5月~1997年4月),3代目 丹羽寛文先生(1997年4月~2009年5月),4代目 上西紀夫先生(2009年5月~2013年5月)の後を引き継ぎ,2013年5月より5代目理事長を拝命させていただいた.歴代の理事長の力強いリーダーシップのもと世界に冠たる消化器内視鏡の歴史と伝統の礎をもとに,全会員一同の力を結集して,更なる本学会の飛躍を目指していきたいと考えている.とくに喫緊の課題として,専門医制度のあり方,内視鏡トレーニングシステムの構築,国際化事業の展開(欧米並びにアジア諸国との協調と連携),各種ガイドラインの見直しと新規策定,内視鏡研究と医療現場の実践との調和,医療機器に関する臨床治験・臨床研究の方向性などの問題が挙げられる.また,これからの内視鏡医療・医学の動向を考える際には,わが国の医療を取り巻く環境とその変化を予見しなければならない.近未来に起こる確かな予測は,高齢化,肥満化に伴う疾病構造の変化であり,“市場ニーズを見極めていくこと”,“技術予測設計コンセプト”,周辺科学の進歩に細心の目を向けつつ“disruptive technologyに乗り遅れることなく,欧米に先んじた開発技術力と臨床応用の推進”が重要である.そのような背景から,2020年までの消化器内視鏡における主たる課題は,①内視鏡における質の向上と世界的レベルの標準化,②効率的スクリーニング体制の構築とより早期の癌の発見・診断,③安全で確実な内視鏡治療の発展・普及であろう.われわれ日本の内視鏡医は,止血術,ポリペクトミー,EMR,ESDなどで培ってきた技術を応用し,質の高い臨床的研究を前向き多施設共同研究で行い,内視鏡診断・治療の分野で国際的に更なる貢献を果たしていくことが重要な使命である.
索引用語