セッション情報 特別講演(消化器外科学会)

人口減少社会に直面する日本の将来展望

タイトル 特別講演7:

人口減少社会に直面する日本の将来展望

演者 丹羽 宇一郎(前中華人民共和国駐箚特命全権大使,前伊藤忠商事株式会社取締役会長)
共同演者
抄録  世界は政治,経済だけでなく自然現象も含めあらゆる面で安定しない世紀に入っているように思われる.
 自然界では,人間が作りだしたものかもしれない地球温暖化,局地的に激しい洪水,干ばつ等の気象変化が常態化し,これらの相互作用があるのか大地震,噴火の確率も高まっているとも言われ,各地で空気,河川の汚染拡大も報道されている.
 一方,政治面では人間の非合理な言動が作り出す戦争,宗教,文化,飢餓等の紛争は絶えることなく各地域で続き,発生している.
 経済も当然のことながら大小は別としてもこうした影響を受けている.ネズミが本能的に一斉に逃げ出すことがあるように,人間が動物本能で将来生活に不安を察知するかの如く,先進国では出生率の低下や老齢化が急激に進行し始めている.
 とりわけ日本の少子高齢化は戦慄をおぼえる程,日本の将来に暗い影をおとそうとしている.今年生まれる子供達が40才になる2050~60年には100人の内,65才以上が40人,働く人が52人,中学生以下が8人の世界となる予測が国立社会保障・人口問題研究所より公表されている.
 2人に1人しか働かなくなり,子供の元気な声が聞こえない沈然の街の日本になるのだろうか.道路の渋滞はなくなり,住宅も大きくなり,大学も全員入学となり,静かなゆったりした質の高い生活が出来るようになるという将来を描く人々も多いが,期待過剰の幻想だろう.
 40年後,地球全体では25億人増え93~95億人になっているだろう.その中でアフリカの人口は10億人から20億人に激増するという.
 自然界も過去地球生誕以来最も恵まれた100年を過ごしている我々の時代は恐らく終わり,これからの世界は厳しい気象条件のなか,食料,資源の需給バランスが崩れるかもしれない.今の延長線上にはどの国もない事だけは確かだが,日本は世界の中でも最も早く厳しい条件に直面することになるだろう.

これからの40年間,
 北朝鮮は金正恩が70才をこえる迄,このままの世界の孤児できらわれ者の国で進むだろうか?
 アメリカは世界の大国として影響力を持ち続けることが出来るのだろうか?今のままの沖縄の基地を必要としているのだろうか?

 中国は共産党独裁政権のままで世界第一の経済大国となっていくのだろうか?
 インド?アセアン?ロシア?ブラジル?欧州共同体?

 あらゆる面で不安定な世界環境の中,限りなく不確実性の高い非合理な人間が何をどのように動かし,どのような新しい世界へ変えていこうとしているのか,夢と期待も不安と共に膨らんでいく.
 そうした中で,日本は世界の中でどのような存在感を持ち,国力を高め,国民がより幸せになっていけるのか?
 将来の日本の国の姿を考える上で,少しでも参考になるお話しが出来れば幸いである.
索引用語