セッション情報 |
消化器外科学会特別企画2(消化器外科学会)
消化器外科学会特別企画 「肝癌診療 国内外のUp to date」
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タイトル |
(講演)外企2-1:肝癌診療 国内外のUp to date(外科:肝癌に対する外科治療のUp to date)
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演者 |
久保 正二(大阪市立大大学院・肝胆膵外科学) |
共同演者 |
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抄録 |
肝細胞癌(肝癌)に対する根治的治療法として肝切除術はすでに確立されているが,肝切除周術期管理の改良,腹腔鏡(補助)下肝切除術などの新たな技術や肝切除を含めた集学的治療法の開発により,その治療成績は向上し,さらに,肝移植の適応についての検討が行われてきた.肝切除術に関しては,より安全かつ効率的な周術期管理や系統的肝切除の意義が引き続き報告されるとともに,肝切除とラジオ波焼灼術の術後成績を比較するSURF Trial(RCT)が進められている.また,各種手技やデバイスの開発・改良により腹腔鏡(補助)下肝切除が急速に普及し,その安全性を含めた成績の検証が行われるようになった.その結果,適応を選択すれば,短期成績が良好であることが明らかとなっている.今後,適応の拡大が図られるとともに長期成績の観点からの評価が行われることとなる.一方,門脈侵襲を伴う進行肝癌に対する外科治療が積極的に試みられてきたが,一定の成果は得られるものの,肝切除のみでは不十分であることも明らかとなっている.そのため,肝動注療法や全身化学療法を含めた種々の術前・術後補助療法が行われてきた.しかし,それぞれの治療法の有用性に関する報告はみられるものの,その適応を含めた検討が今後の課題である.さらに,根治治療後補助療法にはC型肝炎やB型肝炎に対する治療と肝癌に対する治療が含まれる.このうち,C型肝炎に対しては,種々のインターフェロン療法による治療成績に加えて,いくつかのメタ解析により,肝癌再発抑制効果や予後改善効果が報告されている.B型肝炎に対する核酸アナログ療法の再発抑制効果については確定していないものの,肝機能改善による予後改善効果がみられることが明らかとなっている.近年,糖尿病や脂肪肝などの生活習慣病を基礎とする肝癌症例数しており,これら生活習慣病などの背景疾患対策が今後の課題である.肝癌に対する移植適応に関して,腫瘍径,腫瘍個数に加えて生物学的悪性度を考慮したミラノ基準を超えた基準が提唱されている.また,ラパマイシンによる移植後肝癌再発抑制効果の検討が進んでおり,その治療成績の向上が期待される. |
索引用語 |
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