セッション情報 |
消化器外科学会特別企画4(消化器外科学会)
消化器外科学会特別企画 「膵癌診療 国内外のUp to date」
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タイトル |
(講演)外企4-1:膵癌診療 国内外のUp to date(外科:膵癌に対する術前,術後の補助療法)
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演者 |
大東 弘明(大阪府立成人病センター・消化器外科) |
共同演者 |
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抄録 |
膵癌切徐例の切除後の成績向上をめざし術前や術後に種々の補助療法が試みられてきた.近年,新規抗がん剤の開発や放射線治療法における技術革新などもあり膵癌の切除後の成績も大きく改善されつつある.そこで,手術前後の併用療法の変遷や最近の知見について報告し,今後の方向性を考察する.術後補助療法としてはGITSGによる5FU併用放射線療法の有用性が報告されて以来5FU-basedの化学放射線療法が第一選択であったが,ESPAC-1やEORTCの臨床試験でその有用性に疑問が呈された.しかしJohns hopkinsなどの大規模施設から生存期間延長に寄与するといった報告もあり,その臨床的意義については未だ明確にはなっていない.gemcitabine(GM)が登場し,CONCO-001やJSAP-02などの臨床研究で術後補助療法としての有用性が示された.さらに最近,JASPAC-01研究の中間解析でS1がGMを凌駕する結果が報告され,GM+S1治療後の切除例に対する補助療法としてもS1を用いた試験が検討されている.術前においては1980年代から放射線療法が試みられてきたが,2000年頃までは併用薬剤の殆どが5FUであった.その後,GMをはじめ種々の抗がん剤の併用も試みられ,最近では切除可能例では50%を超える5年生存率も報告されるようになった.術前治療の報告は急増しており,切除不能局所進行例(UN)や切除可能との境界(BR)例などにおける試みも多く報告されるようになった.Meta-analysisによる解析では,UNやBR例の成績の改善が得られ,切除できれば当初から切除可能であった症例と同等の成績が得られる可能性が示唆された.最近ではGMに加えcapecitabine,oxialiplatineなどの併用やFOLFIRINOXなどが注目され,化学放射線療法に先行する導入化学療法も試みられている.放射線療法に関しては,粒子線治療などの応用によるより強力な局所効果やIMRTの導入による副作用の防止や安全性の向上も期待される.補助療法によって再発形式にも変化が認められつつあり,これらに対処すべく,さらに先を読んだ対策が今後の課題である. |
索引用語 |
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