セッション情報 消化器病学会特別企画1(消化器病学会)

GRADEシステムに準じて作成された新ガイドライン最終報告

タイトル 消企1-2指:

機能性消化管障害「機能性ディスペプシア」診療ガイドライン報告

演者 三輪 洋人(兵庫医大・内科(上部消化管科))
共同演者 草野 元康(群馬大・光学医療診療部)
抄録 国民の生活の質(QOL)に対する意識の高まりとともに,国民の機能性疾患に対する関心は急速に高まっている.これらを背景として日本消化器病学会では機能性消化管障害に対するガイドライン作成を決定し,2011年7月より「機能性消化管障害(FD/IBS)診療ガイドライン」の作成を進めている. 機能性消化管障害は「機能性ディスペプシア;FD」と「過敏性腸症候群;IBS」の二班に分かれて作業を進めている.FDガイドラインは12名の作成委員会委員,5名の評価委員,そして1名のオブザーバーで構成されている.2011年12月に65個のclinical question(CQ)が確定し(概念・定義・疫学13,病態13,診断11,治療21,予後・合併症7),これに対する文献検索のキーワードを国際医学情報センター(IMIC)に依頼し,2012年4月から文献選択作業を始めた.一次,および二次構造化抄録作成を2012年内で終了し,2013年初めからCQに対するステートメントを5つのチームに分かれて作成し,2013年4月現在gradeシステムを用いてのステートメントを確定中である.各ステートメントに対して,委員間での合意を得ながら作業を進めているが,推奨度のあるステートメントに関しては無記名投票を行いながら確定している.IBSガイドライン作成委員会と歩調を合わせて作業を進め,7月を目途に評価委員会へと最終案を提出できる予定である.評価委員会の見解を受けて,ステートメントをreviseし,パブリックコメントを応募した後に最終確定する予定である.FDのガイドラインに関しては,その定義や診断過程,ピロリ菌感染の取り扱い,治療アルゴリズムの策定などが特に問題となるが,今後の保険病名にも関わる内容であるためローマ基準を基本としながらもそれを広く捉える方向性で進めていく予定である.2013年春に運動機能改善薬であるアコチアマイドがFDを保険病名として承認され,我が国のディスペプシア診療は転換期を迎えている.このガイドライン作成を契機に日本におけるFDの診療体系の整理が進むことを望んでいる.
索引用語 機能性ディスペプシア, ガイドライン