抄録 |
胃食道逆流症(GERD)診療ガイドラインは2007年までの文献エビデンスにもとづいて2009年に発表されたものであり発表時点から既に4年間の時間が経過している.2007年以降にもGERDの診療に関する新たな文献エビデンスは多数発表され続けている.そこで 新しいエビデンスを取り込むべく重要なエビデンスの発表に対してはannual reviewの形でガイドラインの一部の修正,追加が行われホームページ上に発表されてきた.ところが初版作成から4年の時間が経過したためガイドラインを全面的に改訂することが必要となった.改訂が必要な点は,前回文献検索を行った後に発表された文献エビデンスに基づいて 全てのステートメントを見直すとともにエビデンスレベルや推奨度を再検討することである.さらにこれに加えて,画像強調内視鏡検査が日本では広く用いられるようになったため,この有用性に関する記載が必要となった点,プロトンポンプ阻害薬(PPI)抵抗性GERDに対する対応に関してエビデンスが増加しているため これらに関する記載が必要となった点,そしてBarrett食道の診断や治療に関する点であろうと考えられる.そこで,今回行う第一回目のガイドラインの改訂では上記の点を中心にCQの追加,修正を行った.新しいCQでは古い文献も含めて,従来から使用していたCQでは,2007年以降の文献を中心として系統的な文献検索を行った.文献検索で得られたエビデンスレベルと有用性の高い文献から構造化抄録を従来同様に作成し,ステートメントの案が作られるとともに,GRADEの考え方に基づいて文献エビデンス全体のエビデンスレベルと推奨度が決定されつつある. 今回の改訂で,GRADEの考え方を用いた初めてのGERD診療ガイドラインができると期待されるとともに,前回のガイドライン作成時よりも日本で発表されたエビデンスを多く採用できると考えている.本ガイドラインが完成後は,日本語で本として発表するとともに,時間を置かず英文としても発表し世界に発信して行くべきであると考えている. |