セッション情報 | 消化器病学会特別企画1(消化器病学会)GRADEシステムに準じて作成された新ガイドライン最終報告 |
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タイトル | 消企1-7指:炎症性腸疾患診療ガイドライン改訂の現状と問題点 |
演者 | 上野 文昭(大船中央病院) |
共同演者 | 松井 敏幸(福岡大筑紫病院・消化器内科), 渡辺 守(東京医歯大・消化器内科) |
抄録 | 日本消化器病学会主導の炎症性腸疾患(以下IBD)診療ガイドラインとして,クローン病(以下CD)診療ガイドラインが2010年4月に刊行された.潰瘍性大腸炎(以下UC)を含まなかった理由は,これに先立ち厚労省研究班によるUC診療ガイドラインが策定されており,なおかつその内容が少なくともその当時は臨床における標準と考えられたので,二重標準を回避したためである.その後IBDに対する新しい治療法が開発され国内臨床使用が承認されるにつれ,すでにCDでは厚労省研究班からupdate versionが2011年10月に公開されている. 今回IBD診療ガイドラインを改訂するにあたり,CDのみならず現在の診療情報としては旧態化し不十分となっているUCガイドラインを含めた.開発方法として学会ガイドライン統括委員会の定めた統一化された手順に沿ってGRADE systemを用いて改訂に着手した. 直面しているあるいは予測される問題点は少なくない.これまで独立した診療ガイドラインとして開発した2疾患をまとめるために項目数を絞り込む必要があり,診療現場で使うためのきめ細かなクリニカルクエスチョンというよりも,やや包括的な項目立てにならざるを得ない点がまずあげられる.またGRADE systemで用いるエビデンスが本来システマティックレビューであることも臨床現場の生の疑問に答えにくい理由の一つである.さらにUC診療ガイドラインは元々開発方法が異っているため,改訂というよりも全面的に開発しなおす必要性が生じていることが作成委員の負担を大きくしている.IBD診療ガイドラインの進捗状況や今後の展望などにつき報告する. |
索引用語 | クローン病, 潰瘍性大腸炎 |