セッション情報 消化器病学会特別企画2(消化器病学会)

Helicobacter pylori 除菌治療 -コンセンサスと今後の展開-

タイトル 消企2-5追:

当院H. pylori(HP)外来での除菌療法の成績―sequential therapyとの考察―

演者 大久保 栄高(国立国際医療研究センター・消化器科)
共同演者 小早川 雅男(国立国際医療研究センター・消化器科), 櫻井 俊之(国立国際医療研究センター・消化器科)
抄録 【目的】HP除菌療法に関して,以前よりsequential therapyが注目され,いくつかの報告がなされてきた.当院ピロリ外来での診療をもとに本邦での標準治療であるtriple therapyと海外でのsequential therapyとを除菌率および費用対効果の面で比較検討する.【方法】2010年7月から2012年8月までの25ヶ月間にピロリ外来を受診し,組織診断,血清ピロリ抗体,又は尿素呼気試験(UBT)で陽性と診断し,一次除菌から除菌治療を行った92例(男性42例,女性50例) 年齢(中央値66歳:29-88歳)を対象とした.一次除菌は各種PPI〔rabeprazole(RPZ)20mg/日,esomeprazole(EPZ)40mg/日,又は omeprazole(OPZ) 40mg/日〕+amoxicillin(AMPC)1,500mg/日+clarithromycin(CAM)400mg/日を1週間投与した.二次除菌はPPI(RPZ又はEPZ)+AMPC+metronidazole(MNZ)500mg/日を1週間投与した.除菌判定は3ヶ月後にUBTで行った.【成績】一次除菌率は70.7%(65/92例)で,二次除菌率は96.3%(26/27例)であり,累積除菌率は98.9%であった.1症例の除菌成功に必要であった薬剤費は5,354.5円で,初回診断及び除菌判定をUBTで行った場合,1症例の除菌成功に必要であった薬剤費と検査費は17,019.3円であった.【結論】海外ではLPZ60mg/日+AMPC2,000mg/日7日間+LPZ60mg/日+CAM1,000mg/日+MNZ1,000mg/日7日間の計2週間のsequential therapy(薬剤費9,496.2円)での除菌率が90.7%(95%CI:87.4-94.0%)との報告がある.1症例の除菌成功に必要な薬剤費と検査費は21,773.5円となる.本邦では一次除菌率の低下が問題視されているが,二次除菌率は高率であり,一概には比較できないものの,本邦で推奨されているレジメは二次除菌までの累積除菌率と除菌にかかる費用の両面において,海外で有用と報告されているsequential therapyと遜色ないと考えられる.
索引用語 H. pylori, 除菌