セッション情報 消化器内視鏡学会特別企画1(消化器内視鏡学会)

内視鏡診療と医療倫理

タイトル 内企1-2指:

診療現場における必要なインフォームド・コンセントの確立と医療倫理

演者 瀧本 禎之(東京大大学院・医療倫理学)
共同演者
抄録 昨今の臨床現場においては,従来以上に医療倫理的な配慮を行うことが,臨床家に求められている.
インフォームド・コンセントは,information(情報,説明)に基づくconsent(同意,承諾)であって,いわゆる「説明と同意」などと呼ばれるものである.患者に対して病状や診療行為に関して説明が行われる際に,現場では「アイシー」という呼称がときおり耳にしたりもする位に,臨床的作業の一環に位置付けられるまでにインフォームド・コンセントという概念は普及している.インフォームド・コンセントが臨床現場で実践される背景や根拠として,医師の説明義務や患者の自己決定権といった法的な観点を指摘することが出来る.
一方で,インフォームド・コンセントは,最も身近な臨床現場における医療倫理の実践とみなすことができる.つまり,医療倫理の基本四原則の一つである自律尊重原則に従った医療倫理的配慮・行為として説明することが可能である.インフォームド・コンセントの実践が医療倫理に則った行為であることを認識せず,単なる臨床的手続きや法的な観点のみからインフォームド・コンセントの取得を日々行うことは,その本質を見失うことに繋がる危険性がある.実際の臨床場面では,インフォームド・コンセントを取得する際に様々な問題が生じることがあるが,そのようなケースでは,インフォームド・コンセントの実践が持つ医療倫理的背景に立ち返って対応を検討することが必要となるのである.
本講演では,診療現場で必要なインフォームド・コンセントを確立させるための要件とインフォームド・コンセントの医療倫理的背景に関して解説したい.
索引用語 インフォームド・コンセント, 医療倫理