セッション情報 肝臓学会・消化器病学会特別企画1(肝臓学会・消化器病学会合同)

腹腔鏡・肝生検の現状と再評価-次世代への継承とその問題点

タイトル 肝_肝消企1-1:

腹腔鏡下肝表面におけるmicronodule観察の意義

演者 乾 由明(兵庫県立西宮病院・内科)
共同演者 松本 仁(兵庫県立西宮病院・内科), 河田 純男(兵庫県立西宮病院・内科)
抄録 【目的】肝硬変症の診断における腹腔鏡下肝表面観察の意義について検討した.【対象】腹腔鏡下肝生検を用いて肝硬変症と診断した222例(うち担癌25例)を対象とした.非飲酒家186例,常習飲酒家36例である.原因別に結節の大きさ,間質の幅,赤色紋理,黄色調,リンパ小水疱,斑紋の出現頻度について検討した.【成績】(1)C型肝硬変症例では径2-6mm未満の結節が92%,リンパ小水疱は26%観察された.自己免疫性肝硬変症例では結節径6mm以上のmacronoduleが80%で観察されたが,macronoduleを呈さなかったのはいずれもC型肝炎合併例であった.(2)常習飲酒家では2mm以下のmicronoduleは94%,黄色調53%,リンパ小水疱は73%の症例で観察された.一方非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)ではmicronoduleは50%,黄色調50%で観察されたが,リンパ小水疱は観察されなかった.(3)222例中糖尿病合併は17例であったが,うち13例がmicronoduleであった.また担癌C型肝硬変19例のうち5例はmicronoduleでこのうち4例に糖尿病の合併を認めた.【結論】C型肝硬変では径2-6mmの結節が特徴的であるが,担癌例ではmicronoduleの占める割合が増加し,その進展に糖尿病が関与している可能性が示唆された.NASHとアルコール性肝病変では組織学的に相違を論ずることは難しいが,肝硬変に進展した症例では両者の肝表面像は異なっていた.
索引用語 肝硬変, 腹腔鏡