セッション情報 肝臓学会・消化器病学会特別企画1(肝臓学会・消化器病学会合同)

腹腔鏡・肝生検の現状と再評価-次世代への継承とその問題点

タイトル 肝_肝消企1-6指:

C型肝炎における腹腔鏡検査の特徴と有用性

演者 小松 通治(信州大・消化器内科)
共同演者 梅村 武司(信州大・消化器内科), 田中 榮司(信州大・消化器内科)
抄録 C型肝炎は長年の経過で徐々に肝線維化が進行し肝硬変から肝発癌に至る疾患であるため,組織学的に肝炎の活動性や線維化の程度を評価することは臨床的に重要である.腹腔鏡検査は肝生検を安全に行うとともに,肝表面の観察,肝硬度の確認,門脈圧亢進症などに伴う二次的所見の確認などが可能であり,肝生検所見との対比により高い精度で肝組織所見を評価することが可能である.今回,C型肝炎の腹腔鏡所見の特徴や肝組織所見との対比による有用性を検討したので報告する.C型肝炎を含む慢性肝炎の腹腔鏡所見では,赤色紋理,白色紋理,斑紋等が代表的な所見である.赤色紋理は肝被膜下直下の肝実質の脱落壊死を反映するため軽度の慢性肝炎では出現しない.中等度から硬度の慢性肝炎では活動性の炎症が持続し,門脈域周囲のpiecemeal necrosisから実質内の壊死が進行し小葉構造の改築が起こる.さらに炎症が進行し肝被膜直下の肝実質の脱落・壊死を生じると,同部での血流変化が起こるとともに被膜内にも動脈血流の改変による血管新生・拡張が起こり,網目状や出血斑様の赤色紋理を認めるようになる.白色紋理は線維化の進行に伴い生ずる所見で,門脈域から拡がる線維化により肉眼所見として網目状,樹枝状と称される変化が肝表面全体に観察される.斑紋は肝表面の凹凸を表し再生結節の芽とも考えられ,C型肝炎ではB型肝炎と比較しあまり目立たないことが多いとされている. 今回,当科で腹腔鏡および腹腔鏡下肝生検を施行したC型肝炎症例を対象に,C型肝炎の腹腔鏡像を呈示するとともにその特徴を述べる.また,肝炎の活動性と線維化を新犬山分類とKnodellらによるhistlogical activity index(HAI) scoreを用いて評価し,腹腔鏡所見との対比を行う.
索引用語 腹腔鏡, C型肝炎