セッション情報 肝臓学会・消化器病学会特別企画1(肝臓学会・消化器病学会合同)

腹腔鏡・肝生検の現状と再評価-次世代への継承とその問題点

タイトル 肝_肝消企1-11指:

経皮的RFAが困難な例に対する腹腔鏡下RFAの有用性

演者 村岡 優(武蔵野赤十字病院・消化器科)
共同演者 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】当院では肝表在型HCCや隣接臓器が存在し経皮的RFAが困難であるHCCに対して腹腔鏡下RFAを施行している.3次元画像解析システムを用いた肝臓の3D画像作成,腹腔鏡用linear型,sector型エコーを使用し腫瘍の局在を明確にすることで治療効果を向上させている.今回,腹腔鏡下RFAの長期成績を検討した.【方法】当科で経験した腹腔鏡下RFA症例を提示する.2001年1月1日より2013年3月1日までに肝表在型HCCに対して当科で腹腔鏡下RFAを施行した123例を対象として,患者背景,治療成績,合併症について検討した.【成績】症例1は78歳女性,C型肝硬変で通院,2005年,2007年にHCCに対してTAE,RFAを施行.2012年5月,心臓に隣接する横隔膜直下の肝S2表面にφ10mmのHCC再発を認め,腹腔鏡下RFAを施行,sector型エコーを使用し横隔膜損傷なく十分なsafety marginが得られた.症例2は80歳男性,C型肝硬変で通院,2011年にHCCに対してRFAを施行.2013年2月,胆嚢に隣接する肝S8/4表面にφ30mm,肝S5深部にφ15mmのHCC再発を認めた.肝S5HCCは経皮的RFA,肝S8/4HCCは腹腔鏡下RFAを施行,目視により胆嚢損傷なく,十分なsafety marginが得られた.腹腔鏡下RFA全例の平均観察期間1345.1日,平均年齢67±8.7歳,男女比は72:51,成因はC型/B型/非B非C/アルコール/自己免疫性肝炎:99例/12例/6例/4例/2例,Child pugh A/B:109例/14例,初発/再発:87例/36例,腫瘍径23.2±8.6mm,腫瘍の局在はS2/S3/S4/S5/S6/S7/S8:11例/32例/30例/15例/2例/1例/32例.初発87例の累積生存率は1年:100%,3年:89.2%,5年:83.4%,再発36例の累積生存率は1年:96.3%,3年:71.3%,5年:63.4%だった.合併症は限局性腹膜炎1例(0.8%),トラカール挿入部からの出血1例(0.8%),無気肺4例(3.2%)で,隣接臓器損傷例はなかった.【結論】肝表在型HCC,隣接臓器があるHCCに対して腹腔鏡下RFAは安全に治療可能であり,初発・再発例ともに良好な治療成績であった.
索引用語 腹腔鏡下RFA, HCC