セッション情報 肝臓学会・消化器病学会特別企画1(肝臓学会・消化器病学会合同)

腹腔鏡・肝生検の現状と再評価-次世代への継承とその問題点

タイトル 肝消企1-基調講演2:

腹腔鏡下肝切除を最も行っている施設から

演者 新田 浩幸(岩手医大・外科)
共同演者 高原 武志(岩手医大・外科), 若林 剛(岩手医大・外科)
抄録 腹腔鏡は診断のツールであったが,外科領域では切除治療にまでルチーンに用いられるようになってきた.部分切除から始まった腹腔鏡下肝切除であるが,外側区域は既に標準治療として広く普及しつつあり,昨春の診療報酬改定から74,880点が請求出来るようになった.さらに教室が中心となり区域切除や葉切除の腹腔鏡下肝切除(部分切除,外側区域切除以上)の多施設共同試験を実施しており,将来は多くの肝切除が腹腔鏡下に行われるようになるであろう.最近では教室の肝切除の約8割が腹腔鏡下に行われている.実際に教室では1997年3月から腹腔鏡下肝切除を開始し,2013年5月までに349例の切除症例を経験した.対象疾患の内訳は,肝細胞癌(118例),転移性肝癌(145例),生体肝移植ドナー(39例),肝門部・肝内胆管癌(17例),血管腫(8例),その他(22例)であった.部分切除や外側区域切除から徐々に適応を拡大し,2002年から腹腔鏡補助下肝切除(hybrid法)を導入し区域切除や葉切除(大肝切除)まで行うようになった.2007年からはhybrid法をドナー肝切除に応用し,2009年には完全腹腔鏡下大肝切除を開始した.その結果,188例に完全腹腔鏡下肝切除,161例にhybrid法が施行された.術後短期成績は既報のメタアナリシスの結果と同様で,同時期の開腹肝切除に比較し,術後合併症が少なく,出血量が少なかった.肝細胞癌の長期成績も,同時期の開腹肝切除に比較し,非劣性であり,特に肝予備能の良い患者に対する腹腔鏡補助下大肝切除を行った肝細胞癌症例(36例)では5年生存率が8割を超え(観察期間1053日),非常に良好であった.教室での腹腔鏡下肝切除のうち215例(61.6%)が系統的切除であり,161例(46.1%)が大肝切除(区域切除や葉切除)であった.腹腔鏡下肝切除の短期成績は開腹肝切除より良好であり,長期成績も非劣性の可能性がある.ただし,安全な普及には手技の習熟と定型化が必要である.教室では腹腔鏡補助下肝切除が部分切除と外側区域切除から大肝切除へのステップアップに大いに役立った.
索引用語 腹腔鏡下肝切除, 肝細胞癌