セッション情報 肝臓学会・消化器病学会特別企画1(肝臓学会・消化器病学会合同)

腹腔鏡・肝生検の現状と再評価-次世代への継承とその問題点

タイトル 消_肝消企1-13:

腹腔鏡下肝ブロック生検が診断に有用であった3例

演者 宮城 重人(東北大病院・移植・再建・内視鏡外科)
共同演者 川岸 直樹(東北大病院・移植・再建・内視鏡外科), 大内 憲明(東北大病院・移植・再建・内視鏡外科)
抄録 背景腹腔鏡下肝切除は保険適応となり標準術式となってきた.当チームでも腹腔鏡下肝切除が10例を超え,術式として安定してきた.一方肝生検では,従来のCNBでは診断が難しい症例が増加している.このため腹腔鏡を利用したブロック肝生検の有効性が注目されるようになった.当科でも腹腔鏡下肝ブロック生検を3例に施行したので報告する症例症例1は65歳男性.12歳まで山梨在住歴あり.17年前より慢性肝障害指摘されるも原因不明で放置されていた.今回当院消化器科紹介,慢性的なCRP上昇やまだら脂肪肝を認めることから日本住血吸虫症が疑われた.針生検では診断困難とのことで腹腔鏡生検目的に当科紹介.症例2は43歳男性.2009年右腹壁軟部腫瘍に対し整外で広範切除術施行.病理結果:atypical granular cell tumorであった.今回肝S5,8及び横隔膜に腫瘤を認め肝生検目的に消化器科紹介,腫瘤が小さく針生検困難とのことで当科紹介.症例3は40歳男性,家族が肝不全肝移植脳死登録となり自身のB型肝炎判明.AST/ALTは正常範囲内であったが,S7に約2cm大の腫瘍確認.腫瘍摘出+ブロック肝生検目的に紹介となった. 結果3例とも完全腹腔鏡下肝部分切除施行.症例1は門脈を介した炎症であり好酸球や組織球が非常に多数観察される点からは寄生虫感染症で矛盾しないとの診断であった.消化器科フォロー中である.症例2はMalignant granular cell tumorの診断で手術適応外・腫瘍内科転科となった.症例3はHCC,背景肝はf3と想定以上に肝線維化が進んでいることが確認できた.現在消化器科フォロー中である.結論腹腔鏡下ブロック肝生検は安全に施行でき診断に有用と考えられた.
索引用語 腹腔鏡下肝切除, 肝生検