セッション情報 |
肝臓学会・消化器病学会特別企画1(肝臓学会・消化器病学会合同)
腹腔鏡・肝生検の現状と再評価-次世代への継承とその問題点
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タイトル |
肝_肝消企1-14:背景肝の線維化を反映した肝切除術式:術前肝生検の問題点
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演者 |
蔵満 薫(神戸大・肝胆膵外科) |
共同演者 |
福本 巧(神戸大・肝胆膵外科), 具 英成(神戸大・肝胆膵外科) |
抄録 |
【背景】我々はこれまで術後肝不全が血清ビリルビン値やICG負荷試験などの肝予備能検査ではなく摘出肝の線維化と肝切除量で規定されること,従って摘出肝の線維化が術式決定において最も重要な役割を果たしていることを明らかにした.しかし術前肝生検と摘出肝線維化の相関関係については不明な点が多い.そこで今回我々は肝切除術式決定における術前肝生検の問題点とその対策について検討したので報告する.【方法】2010年から2012年末までに我々の施設で実施した肝癌肝切除114症例における1)術前肝予備能検査と摘出肝線維化の相関関係,2)術前,術中肝生検と摘出肝線維化の相関関係,3)術前肝生検の診断能を補完する因子について検討した.【結果】1)単変量解析ではアシアロシンチ低下(p=0.0007),背景疾患(p=0.0014),Child-Pugh分類B以上(p=0.0090),アルブミン<4.1g/dL(p=0.0095),PT<79%(p=0.0290)が摘出肝線維化F3以上と有意に相関した.2)単変量解析では術前(p=0.0263)及び術中(p<0.0001)肝生検が摘出肝線維化F3以上と有意に相関した.多変量解析では全ての術前肝予備能検査の有意差は消え,術前(p=0.0185)および術中(p=0.0185)肝生検のみが摘出肝線維化F3以上と有意に相関した.線維化の程度を比較すると,術前術後で一致したのは全体の42%に留まり残り58%は全て過小評価であったのに対し,術中術後で一致したのは全体の60%で残り9%が過大評価,31%が過小評価であった.感度/特異度では術前肝生検が100/45%であるのに対し術中肝生検は92/73%と優れた診断能を示した.3)術前肝生検F3以上にPT<79%や腹水貯留の有無を加え2項目で検討を行った結果,感度/特異度は100/55%に向上した.【考察】摘出肝の線維化を最も正確に予測する因子は術中肝生検であった.術前肝生検では,穿刺針の太さや穿刺部位の制約のため線維化診断能が術中肝生検より劣る.非侵襲的検査や審査腹腔鏡と組み合わせる事により,肝生検の精度を如何に向上させるかが今後術式決定の上で克服すべき課題である. |
索引用語 |
肝切除, 肝生検 |