セッション情報 消化器がん検診学会特別企画(主題)1(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

がん検診の精度管理

タイトル 検_検企1-1指:

市区町村における直近4年間のがん検診精度管理水準について

演者 町井 涼子(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター・検診研究部)
共同演者
抄録 【目的】がん対策推進基本計画では,がん検診実施主体である全ての市区町村ががん検診精度管理を行うことが定められ,精度管理水準を測る指標として,必須の検診体制約40項目を纏めたチェックリスト(CL)が初めて作成された.このCLにより,胃がん及び大腸がん検診の直近4年間の精度管理水準を調査した.
【方法】
CLに基づいた調査票を作成し,H21~24年に渡って全市区町村(約1700)を対象にアンケートを行った.各CL項目の実施率について,年度別,自治体の人口規模別(政令指定都市や中核市等の大都市,市,町,村)に比較した.
【結果】 回答率は全年度を通じて72~82%と良好だった.以下,主要なCL項目について特徴を示す(2がんでほぼ同様の結果の為,胃がん検診について示す)
1.受診勧奨
受診勧奨対象者の名簿作成率は4年間で改善したが(72.5→87.5%),個別勧奨の実施率は低水準のまま推移していた(48.9→50.2%).人口規模別では,全年度を通じて大都市,市の実施率が町,村より低かった.
2.精検受診勧奨
精検受診勧奨の実施率は高い水準で推移していたが(81.4%→85.5%),大都市での実施率が他の自治体より低かった.
3.検診指標の把握
要精検率,精検受診率,発見率の把握率は一貫して90%台で推移していた.一方,早期がん割合や陽性反応適中度については,初年度の把握率は低かったものの,4年間で各々大幅に改善していた(55.8→66.4%,43.0→57.3%).また各指標の集計方法については,受診歴別の集計が大幅に改善していた(例,要精検率では36.5%→57.0%).これらの項目は人口規模別の差が無かった.
4.検診機関の選定方法
検診機関選定時の仕様書の利用率,国の基準に沿った仕様書の利用率は各々改善傾向であったが(52.1%→64.4%,35.1→47.3%),全年度を通じて村での実施率が低かった.
【考察】
市区町村のがん検診精度管理水準は4年間で総じて改善していた.今後は実施率が低い項目について,自治体の事情に合わせた具体的な改善策を検討することが必要である.
索引用語 がん検診, 精度管理