セッション情報 消化器がん検診学会特別企画(主題)1(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

がん検診の精度管理

タイトル 検_検企1-4:

地域がん登録データとの照合による胃がん検診成績の解析

演者 成澤 林太郎(新潟大医歯学総合病院・光学医療診療部DELIMITER新潟市医師会胃がん検診検討委員会)
共同演者 小越 和栄(県立がんセンター新潟病院・内科DELIMITER新潟市医師会胃がん検診検討委員会), 加藤 俊幸(県立がんセンター新潟病院・内科DELIMITER新潟市医師会胃がん検診検討委員会)
抄録 【目的】新潟市では平成15年度より対策型胃がん検診にX線の他に内視鏡検査も導入した.内視鏡検診では当初から全内視鏡画像を施行医のみならず,消化器内視鏡学会専門医によるダブルチェックを行なってきている.そのような方式で実施されてきた胃がん検診の精度管理の一環として,毎年がん登録データとの照合による解析を行い,内視鏡検診とX線検診との比較検討を行ってきた.【方法】がん登録データとの照合により,1)がん発見率の年齢補正と地域罹患率,2)検診による死亡率減少効果,および3)内視鏡検診における偽陰性率を検討した.なお,内視鏡検診者数は初年度の平成15年度は8,118名であったが,その後次第に増加し,平成23年度は38,644名となっている.【成績】1)平成15年度から4年間の内視鏡検診での胃がんの平均粗発見率は0.959%であったが,年齢補正では0.659%となり,新潟市の年間罹患比は3.056であった.一方,X線検診での平均粗発見率は0.338%で,年齢補正後は0.230%となり,罹患比は1.203であった.2)5年生存照合が可能な平成15年から17年までの3年間の症例でコホートによる死亡率減少効果を算出した結果,内視鏡検診・直接X線検診ともにいずれの年度でも明らかな死亡率減少効果が認められた.また,間接X線検診では症例数が多くなった平成17年度のみ有意差が見られた.3)内視鏡検診における偽陰性率は平成15年からの4年間の平均では4.77%であった.【結論】1)新潟市の検診では高齢者の受診が多いため,年齢補正を行うとがん発見率は減少した.年齢補正後の罹患比は内視鏡検診の方が高かった.2)内視鏡検診・直接X線検診ともに平成15年から17年までの各年度で明らかな死亡率減少効果が認められた.また,間接X線検診では平成17年度のみ有意差が見られた.3)内視鏡検診での偽陰性率は4.77%と低かった.
索引用語 胃がん検診, 地域がん登録