セッション情報 消化器がん検診学会特別企画(主題)1(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

がん検診の精度管理

タイトル 検_検企1-7:

大腸がん検診の精度管理-精検受診率からの考察-

演者 島田 剛延(宮城県対がん協会がん検診センター)
共同演者 加藤 勝章(宮城県対がん協会がん検診センター), 渋谷 大助(宮城県対がん協会がん検診センター)
抄録 【背景】従来から指摘されているように,大腸がん検診の精検受診率は平成4年度から低いままで,平成22年度日本消化器がん検診学会全国集計では,52.3%(地域・職域・ドック等の合計)と報告されている.しかしながら,地域と職域でその傾向は異なる.地域検診が精検受診率70%台で推移しているのに対して,職域では低下を続け平成22年度の精検受診率は29.8%と報告されている.一方,地域検診における我々の経験では,1)説明会を実施するなど精検について受診者の理解を深めること,2)精検処理能を確保し,精検までの待ち日数を少なくすること,3)説明会での精検予約やバス送迎などの利便性の向上,4)徹底した受診確認と地域保健師からの受診勧奨,などに配慮することで,90%を越える精検受診率を達成してきた.【目的】地域検診での経験をもとに,職域検診における精検受診率向上のために有効な方法を検討する.【方法】地域と全く同じ方法を行うことは不可能なため,前述の2)と4)徹底した受診確認と当施設職員からの受診勧奨などを行った.【成績】平成22年度の精検受診率は地域92.3%に対して職域98.3%と同等以上で,職域検診の精検受診率を高くすることは可能と思われた.精検受診施設をみると,地域検診では精検受診者の35%しか我々の施設で精検を受けていなかったが,職域検診では86%が受けており,我々の取り組みは職域でより必要性が高いものと思われた.【考察と結論】地域検診においては質を高くする様々な取り組みが導入され成果をあげつつあるが,職域検診においては,こうした対策を行う基礎となる部分が定かではなく,そこに問題の本質が存在する.すなわち,職域検診では地域集検と異なり組織型検診の条件をほとんど満たしておらず,検診結果の集計やそれに基づく指導は行われていない.こうした問題に対して,当面は各職場や検診実施機関が地域検診での経験をもとに対処していかざるをえないが,いずれは組織型検診の体制を構築するような抜本的な対策が必要であろう.
索引用語 大腸がん検診, 精検受診率