セッション情報 消化器がん検診学会特別企画(主題)1(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

がん検診の精度管理

タイトル 検_検企1-9追:

大腸3D-CTからみた検診に向けての大腸内視鏡検査の精度管理―Japanese National CT Colonography Trial(JANCT)症例の検討からー

演者 平山 眞章(KKR札幌医療センター斗南病院・消化器病センター・内科DELIMITER大腸3次元CT研究会)
共同演者 高橋 祥(大腸3次元CT研究会DELIMITER札幌医大・4内科), 近藤 仁(KKR札幌医療センター斗南病院・消化器病センター・内科DELIMITER大腸3次元CT研究会)
抄録 【目的】大腸がん検診において大腸内視鏡検査(CS)は主に便潜血陽性者に対する精密検査のGold standardとして用いられている.しかし,そのCSにある程度の見落としがあることはあまり認知されておらず,大腸内視鏡検診におけるCSの十分な精度検証も行われていない.その理由の一つとしてCSの見落とし症例の検討では,癌登録や複数回のCSをstandardとした報告があるが,明確なreference standardは存在しないと考えられるからである.JANCTでは大腸3D-CTで10mm以上のポリープを指摘したにも関わらず,内視鏡で認めない場合を追加CSの適応としている.そこでJANCT登録症例のうち初回CSで見落とされた病変について,その肉眼型や部位,見落としたCSの検査時間等について検討するとともに,大腸3D-CTをreference standardとする可能性について検討した.【方法及び対象】対象はJANCTに登録された1257例のうち,脱落症例を除いた1181例である.CT装置はすべて16列以上で,前処置にはPEG-C法を用い,読影にはコンピューター支援診断(CAD)付きのAZE Virtual Placeを用いた.初回のCSは大腸3D-CTと同日に施行され,また,追加CSは4ヶ月以内に施行された.【成績】初回CSで見落とされたことが確認された病変は9症例11病変, 10mm以上の病変の内で4.78%であった.部位はA,T,D,S,Rで各々 3,2,1,3,2病変であった.肉眼型はIIa(1病変),Ip(4病変),Is(6病変)であった.平均腫瘍径は13.3±10.2mm(7-40)で,このうち2例2病変がadenocarcinomaであった.これらの症例の初回CS施行時間は挿入から抜去まで処置時間を含めて24.8±9.4分であった.これら11病変の全てが3D-CTでCS前に指摘されていた.【結論】以上よりJANCTのプロトコールによる大腸3D-CTはCSの見落としを補完する可能性が高く,大腸がん検診に利用することで更に診断精度が向上する可能性があることが示唆された.
索引用語 大腸がん検診, 精度管理