セッション情報 消化器がん検診学会特別企画(主題)2(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

胃がん検診におけるH. pyloriと胃粘膜萎縮によるリスク集約-エビデンスの要約と今後の研究課題-

タイトル 検_検企2-3:

対策型胃がん検診におけるH.pylori感染状態の判定と今後の課題

演者 安田 貢(KKR高松病院・健康医学センター)
共同演者 前田 剛(KKR高松病院・健康医学センター), 尾立 磨琴(KKR高松病院・健康医学センター)
抄録 【背景】H.pylori(Hp)感染者は定期的な胃がん検診と除菌治療が望ましい.除菌不要のHp未感染者には真の未感染群と既感染群が含まれ,後者でのみ胃がん検診が必要である.理想的な対策型胃がん検診では,このようなHp感染状態別の管理区分や適切な勧奨が求められるが,ABC分類等の血清評価のみではHp感染群,真の未感染群,既感染群の厳密な判定は困難であり,内視鏡検査の受け皿もまだまだ少ない.【目的】今回我々は,胃がん検診におけるX線学的背景粘膜所見からHp感染群,真の未感染群,既感染群の判定を試み,対策型検診における管理方法を考察した.【方法】当院人間ドックでは平成25年より血清Hp抗体とpepsinogen(PG)を基本項目に加え,問診,画像所見と合わせてHp感染状態を判定・指導している.これに過去のエビデンスも加え,胃がん検診における新たなカテゴリー分類(Hp感染状態)の構築を目指す.【結果】胃X線像における体部から前庭部の粘膜像および皺襞を評価してHp感染状態を判定した場合,真のHp未感染群を選択可能であると考えられた.既感染群の診断もある程度可能であったが,感染群との厳密な判別は困難であった.【考察】対策型胃がん検診では真のHp未感染群を対象から除外し,感染群,既感染群に受診勧奨する必要があるが,X線による背景粘膜評価は一元的に管理可能であり,上記目的に資するものと考えられた.感染群と既感染群においては呼気試験等による感染診断を勧め,陽性であれば専門医師による精査および除菌を検討する.今後の課題としては,胃がんリスク細分類とその管理方法,画像診断補助と未受診者対策としてのABC分類の関与方法等,がある.また読影医不足の問題に対しては,従来の専門教育に加えて画像によるHp感染診断方法の標準化を目指すべきであろう.これは内視鏡においても重要課題と思われる.
索引用語 H.pylori, 胃X線