セッション情報 |
消化器がん検診学会特別企画(主題)2(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
胃がん検診におけるH. pyloriと胃粘膜萎縮によるリスク集約-エビデンスの要約と今後の研究課題-
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タイトル |
検_検企2-7:ハイリスク集約型胃がん検診の科学的根拠
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演者 |
濱島 ちさと(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター・検診研究部) |
共同演者 |
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抄録 |
【目的】胃がん検診の新たな方法として,ヘリコバクタ・ピロリ抗体とペプシノゲン法によるハイリスク集約型検診が期待されている.ハイリスク集約型検診の科学的根拠として,死亡率減少効果と間接的根拠を検討した.【方法】ハイリスク集約型検診の科学的根拠は,直接的証拠である死亡率減少効果と間接的証拠に大別される.また,ハイリスク集約後の内視鏡による経過観察が前提になっていることから,内視鏡検診の死亡率減少効果も評価されなくてはならない.間接的証拠として,特に重要な要因となるのは1)ハイリスク集約による胃がん発症予測,2)除菌の効果である.死亡率減少効果については2004年~2012年,その他については1985年~2012年の研究をPubMed及び医学中央雑誌を用いて検索した.【成績】死亡率減少効果については,内視鏡160文献,ヘリコバクタ・ピロリ抗体とペプシノゲン法114文献を抽出した.さらに,胃がん発症予測422文献,除菌1008文献を抽出した.論文レビューを行い,死亡率減少効果を検討した内視鏡6文献,ペプシノゲン法3文献を確定したが,すべて観察研究であり,研究の質も問題があることから確定的な結果は得られなかった.胃がん発症予測に関する8文献,胃がん発症をエンドポイントした8文献を確定した.サンプルサイズや追跡期間が短いことから,胃がん発症予測は示唆されるが確定的ではなかった.また,ESD後の除菌など再発予防を目的とした研究を除外し,無症状者あるいはそれに準じる場合を対象とした胃がん発症に関する除菌効果も限定的であった.【結論】ヘリコバクタ・ピロリ抗体とペプシノゲン法によるハイリスク集約型検診については,死亡率減少効果を検討した研究も限定的であり,また間接的証拠も不十分であった.対策型検診への導入のためには,内視鏡検診も含め,さらなる検証が必要である. |
索引用語 |
ハイリスク集約型胃がん検診, 科学的根拠 |