セッション情報 |
シンポジウム1(肝臓学会・消化器病学会合同)
B型肝炎ウイルス再活性化の予防・治療の現状と課題
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タイトル |
肝S1-1:高感度HBVDNA測定系の開発とB型肝炎ウイルス再活性例への応用
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演者 |
是永 匡紹(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター) |
共同演者 |
杉山 真也(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター), 溝上 雅史(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター) |
抄録 |
【目的】がん化学療法・免疫抑制療法中のB型肝炎ウイルス(HBV)再活性化に対するガイドラインの有効性が明らかになった一方で,疾患・治療薬による再活性化率が異なること,また再活性化後もHBVDNAが増加しない症例も確認され,モニタリング回数や抗ウイルス剤投与例を減少できる可能性があるも,その判別は困難である.今回われわれは,再活性化症例を正確に抽出するために以下の検討を行った.【方法】検討1:HBVDNAの抽出効率増加とhuman error ・contaminationを避けるため1st PCRまで完全自動化,更に保存された領域にprimerを設定することで増幅効率(Hepatol Res 2011)の上昇などの工夫によりHBVDNA高感度測定系を構築し,point dilutionにより100%検出できる感度を従来法[Taqman PCR(Roche)]と比較検討した.検討2:厚労科研「がん化学療法及び免疫抑制療法中のB型肝炎ウイルス再活性化予防対策法の確立を目指したウイルス要因と宿主要因の包括的研究」で集められた保存血清より,高感度測定系の陽性率,及びその有用性について検討した.【成績】高感度測定系で8 copy/mLまで100%HBVDNAを検出可能であった血清(24検体)で,従来法では64 copy/mLまでしか100%検出できなかった.B型慢性肝炎72検体では,2.1 logcopy/mL以上(シグナル陽性を含む)から100%,検出感度未満からも50%(9/18)HBVDNAが検出された.再活性化が確認された5例(多発性骨髄腫1例/固形癌4例)中3例で,再活性化の1-3ヶ月前に高感度系が陽性であった一方で,再活性化を認めない長期観察可能であった8症例84検体(平均観察期間15ヶ月,平均10回測定)でも,5症例7検体(8.3%)にHBVDNAが検出された.【結論】HBV高感度測定系を構築し,従来法より約10倍感度を上昇させることに成功した.高感度系陽性のみで再活性化予測は困難であるが,HBVDNAの検出により,従来法では検討不可能なウイルス変異測定が可能となり,更に宿主因子(HLADPB1)を加えることで予測効率を上昇させることが考慮された. |
索引用語 |
再活性化, 高感度HBVDNA測定 |