セッション情報 |
シンポジウム1(肝臓学会・消化器病学会合同)
B型肝炎ウイルス再活性化の予防・治療の現状と課題
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タイトル |
肝S1-2追:de novo B型肝炎発症HBVの全塩基配列の検討
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演者 |
梅村 武司(信州大・消化器内科) |
共同演者 |
城下 智(信州大・消化器内科), 田中 榮司(信州大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】 De novo B(DN-B)型肝炎は既往感染者からの再活性化により発症する肝炎である.重症化し易く,死亡率が高いことが知られているが,その原因については必ずしも明らかにされていない.本研究では肝炎発症HBVの全塩基配列を決定し,DN-B型肝炎発症に関連するウイルス側因子を検討した.【方法】 2000~2004年と2006~2010年の10年間に行った全国調査で登録されたDN-B型肝炎39例と急性B型肝炎232例の内,血清が保存されているDN-B型肝炎13例(劇症化4例)と急性B型肝炎16例(劇症化3例)についてdirect sequencing法で全塩基配列を決定した.さらに,Hepatitis Virus DatabaseとGenBank/EMBL/DDBJを検索して本邦で発症し,全塩基配列が報告されている急性B型肝炎12例,劇症肝炎26例を解析に加えた.【成績】 系統樹解析ではDN-B型肝炎と急性B型肝炎,さらに劇症肝炎発症例が特定のクラスターを作ることはなかった.S領域の抗原決定基”a”についてのアミノ酸変異 T/I126N/S,K141E,D144A,G145R/KはDN-B型肝炎で1例も認めなかった.Genotype Bの症例ではDN-B型肝炎と急性肝炎の間にアミノ酸変異がPre-S1領域にP110L,S領域にS117R,T118R,K122I/R,Polymerase領域にG301S,H474N,T476Aが認められた (P<0.01).同様にGenotype CでもS領域にT118S/K,Polymerase領域ではH/Y474Q/Lという有意な差を認めるアミノ酸変異が認められた (P < 0.0001).【結論】DN-B型肝炎発症例ではS抗原の抗原決定基の変異は認められないがpre-S1,S,Polymerase領域に有意なアミノ酸変異が認められた.今後は劇症化に関与するウイルス側の因子の検討を進める必要がある. |
索引用語 |
HBV, 再活性化 |