セッション情報 | シンポジウム1(肝臓学会・消化器病学会合同)B型肝炎ウイルス再活性化の予防・治療の現状と課題 |
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タイトル | 消S1-4:造血幹細胞移植におけるHBV再活性化に関する検討 |
演者 | 中本 晋吾(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学DELIMITER千葉大大学院・分子ウイルス学) |
共同演者 | 神田 達郎(千葉大大学院・消化器・腎臓内科学), 中世古 知昭(千葉大大学院・細胞治療内科学) |
抄録 | 【目的】近年血液悪性疾患に対する治療に伴うHBV再活性化が注目され本邦でもガイドラインが作成されている.今回造血幹細胞移植(SCT)におけるHBV再活性化の実態について検討を行ったので報告する. 【方法】1986年から2012年までに当院にてSCTの対象となった447例のうち2006年までにSCTを施行された246例(平均年齢37歳, 男女比154:92, 平均観察期間6.7年)を対象とした.SCTの原因疾患はAML27%,ALL17%,NHL15%,CML13%,その他28%であった.SCT前におけるHBsAgの有無別にSCT後のHBV DNAおよびHBsAg陽性化について検討した. 【成績】核酸アナログ(NA)が使用可能となる2000年以前にSCTが行われた120例ではSCT前におけるHBc/s抗体の測定はルーチンで施行されず既感染例の判別は困難であった.SCT前HBsAg陽性は1例で,SCT後1年で肝炎の再燃を認め,以後再燃を繰り返した.SCT9年後にNAが投与され,以降ウイルスは陰性化を維持した.一方HBsAg陰性は119例で,うち5例(4%)でHBsAgが陽性化した.陽性化時期はSCT後中央値1.5年であり,3例でALT上昇を認めた. 2000年以降にSCTが行われた126例のうちSCT前HBsAg陽性は2例で,そのうち1例はNA内服下にSCTが行われ,以後HBV DNAは陰性化維持可能であった.他の1例はSCT後2ヶ月でHBV DNAは6.6logcopies/mlまで上昇,ALT上昇を伴い,NA投与により抑制された.SCT前HBsAg陰性124例のうちHBc/s抗体陽性例は36例29%で,3/36例8%で再活性化を認め,またHBc/s抗体非測定1例でHBsAg陽性化を認めた.移植後2.5年から最長7年で再活性化およびALT上昇を認め,全例NA投与によりHBVのコントロールは良好であり,1例で薬剤中止が可能であった.2006年以降の症例について現在検討中である. 【結論】SCT例においてHBVガイドライン遵守およびNAの重要性が再確認されたが疾患や治療法は多様であり,今後更なる検討が必要であると考えられた. |
索引用語 | HBV再活性化, 造血幹細胞移植 |