セッション情報 シンポジウム1(肝臓学会・消化器病学会合同)

B型肝炎ウイルス再活性化の予防・治療の現状と課題

タイトル 肝S1-8追:

抗リウマチ薬・生物学的製剤使用例におけるHBV再活性化対策の現状と課題

演者 中西 裕之(武蔵野赤十字病院・消化器科)
共同演者 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院・消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】慢性関節リウマチ(RA)患者におけるHBV再活性化対策の現状と今後の課題を明らかにする.【方法】2010年9月から2012年9月までに当院リウマチ科外来を受診したRA患者130例における2012年9月時点でのHBV再活性化対策スクリーニング実施率を評価し,注意喚起を行った.その半年後の2013年3月時点でのスクリーニング実施率,HBV再活性化発生率を検証し,慢性関節リウマチ診療におけるHBV再活性化対策の特徴と問題点を検証した.【成績】慢性関節リウマチ130例,男女比39:91,平均年齢63.5±14.4歳.治療内容(併用重複あり)は,生物学的製剤14例,メトトレキセート64例,ステロイド(PSL)71例,サラゾスルファピジン(SASP)34例,ブシラミン31例,タクロリムス9例,無治療10例であった.調査時のスクリーニング実施率は抗リウマチ薬,生物学的製剤使用120例中45例(37.5%)であった.保険適応の懸念とステロイドの解釈が課題となった.実際,PSL単独治療例vs非PSL単独治療例では調査開始時のスクリーニング実施率は1/18(5.6%) vs44/102(43.1%)であり有意にPSL単独治療例では低率であった(p<0.01).半年後,スクリーニング実施率は継続通院治療100例のうち91例(91%)と有意に改善した(p<0.0001).6か月の経過観察でのRAのフォローアップ率は105/130 (80.8%)であり,25例(19.2%)がかかりつけ医へ逆紹介されスクリーニングは行われなかった.また,観察期間中HBc抗体陽性例から他病死が1例(0.8%)に認められた.HBs抗原陰性かつHBs抗体もしくはHBc抗体陽性例は15/99 (15.2%)であった.生物学的製剤,抗リウマチ薬投与中のHBc抗体or HBs抗体陽性例におけるHBV再活性化率は0/15 (0%)であった.【結語】RA患者の15.2%はHBV再活性化のリスクを有し,かかりつけ医を含めたHBV再活性化対策が必要と考えられた.今後,ステロイド投与例のスクリーニング施行基準をより明確にすべきである.
索引用語 HBV再活性化, リウマチ