セッション情報 シンポジウム2(消化器病学会・消化吸収学会合同)

IBDに対する内科的治療とその限界

タイトル 消S2-1:

当院のクローン病に対するInfliximab二次無効症例の現状と倍量投与の治療成績

演者 永井 健太(広島大・消化器・代謝内科)
共同演者 田中 信治(広島大・内視鏡診療科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科)
抄録 【目的】クローン病(CD)に対しInfliximab(IFX)は有効であるが,二次無効症例の出現が問題となっている.今回,我々はIFX療法における二次無効症例の背景を検討し,また二次無効症例に対してIFX倍量投与を行った症例の治療成績について後ろ向きに検討した.【対象と方法】2003年2月から2013年3月まで当院でIFXが投与された108名のCD患者うち,少なくとも3回以上IFXが投与され,当院で計画的維持投与中のCD患者74名(一次無効及び有害事象による中止症例は除く)を対象に検討した.まず二次無効群(33例)と寛解継続群(41例)とに群分け検討し,二次無効症例33症例のうちIFX倍量投与を行った15症例の背景及び治療効果を検討した.なお,IFX倍量投与を行った症例のうち,倍量投与後,増悪に伴い他の治療を追加した群(効果なし群:6症例),追加してない群(効果あり群:9症例)とに群分けした.【結果】二次無効群と寛解継続群とで,発症年齢,性別,病型及びIFX投与回数に有意差は認めなかったが,罹病期間は二次無効群で有意に長かった(14.3 vs 9.9年,P<0.05).また腸管合併症例及び手術施行症例は二次無効群で有意に多かった.短期治療効果(0週と6週で比較)は,2群間においてCDAI,CRPいずれも改善していたが,二次無効群で治療前のCDAIが有意に高かった(227.5 vs 163.2,P<0.05).IFX倍量投与後の平均観察期間は319.1日であった.倍量投与8週後のCRPは15例中11例(73.3%)で低下し,うち4例(26.7%)正常値であった.CDAIは9例中6例(66.7%)で低下し,うち2例(22.2%)でCDAIは150以下であった.倍量投与効果あり群と効果なし群との検討では,罹病期間,倍量投与時の年齢,二次無効から倍量投与までの日数,倍量投与前のCDAI,CRP,Alb,Hbに有意差は認めなかったが,効果あり群で女性が多い傾向にあった(P=0.0565).【結論】IFX二次無効症例に対する倍量投与は有効であるが,その効果予測因子については不明であり,今後も更なる追跡が望まれた.
索引用語 クローン病, 二次無効