セッション情報 シンポジウム2(消化器病学会・消化吸収学会合同)

IBDに対する内科的治療とその限界

タイトル 消S2-2:

クローン病に対するインフリキシマブ治療における免疫調節薬併用の重要性~インフリキシマブ二次無効の抑制はクローン病の長期予後を改善する~

演者 石井 学(札幌厚生病院・IBDセンターDELIMITER川崎医大・消化管内科)
共同演者 田中 浩紀(札幌厚生病院・IBDセンター), 本谷 聡(札幌厚生病院・IBDセンター)
抄録 【目的】クローン病(CD)に対するインフリキシマブ(IFX)治療において,二次無効例に対する対応は臨床の現場における喫緊の課題であるが,二次無効を抑制する最善の方法は明らかにされておらず,二次無効が長期予後に与える影響についての報告も少ない.今回我々は,IFXにより治療されたCDを対象に,二次無効に影響する背景因子および二次無効の抑制が長期予後におよぼす効果を検討した.【方法】2002年5月から2012年8月までに,IFXにより治療されたCD 355例のうち,IFXによる寛解導入後,8週毎の維持治療を1回以上施行可能であった283例を対象とした.期間短縮(7週未満)あるいは倍量投与を必要とした症例を二次無効例と定義し,Kaplan-Meier法を用いて累積二次無効率を検討した.また,多変量Cox回帰分析により累積二次無効率に影響する背景因子について検討を加えた.さらに,IFX導入後の観察期間が3年以上であった症例191例を対象とし,3年以内の二次無効の有無による累積非入院率,累積非手術率への影響について検討した.【結果】累積二次無効率は1年20.7%,3年41.3%,5年51.5%であり,多変量Cox回帰分析では,30歳未満,手術の既往,腸管狭窄,投与開始時のCRP高値,14週目のCRP高値が,IFX二次無効を来す有意なリスク因子であった.一方,投与開始時の免疫調節薬(アザチオプリン/6-メルカプトプリン)の併用が二次無効を回避する有意な因子として検出された.観察期間が3年以上の対象においては,累積非手術率が二次無効群(5年79%)に対し非二次無効群(5年86%)が良好な傾向にあり,累積非入院率が有意に非二次無効群において良好であった(5年累積非再入院率:二次無効群 52% vs 非二次無効群 74%).【結語】IFX二次無効を抑制することにより,CDの長期予後は改善する可能性が示唆された.二次無効抑制には積極的な免疫調節薬併用が重要である.
索引用語 インフリキシマブ, 二次無効