セッション情報 |
シンポジウム2(消化器病学会・消化吸収学会合同)
IBDに対する内科的治療とその限界
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タイトル |
消S2-10:難治潰瘍性大腸炎(UC)における内科治療例と手術例の予後の検討
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演者 |
齊藤 詠子(東京医歯大・消化器内科) |
共同演者 |
長堀 正和(東京医歯大・消化器内科), 渡辺 守(東京医歯大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】難治性UCにおける適切な内科治療と外科治療の適切な選択のための因子を明らかにする.【方法】2010年4月~2013年2月まで当院にて入院加療を要したUC92例(男性56例,女性36例)を対象に1.rescue therapyとしてのカルシニューリン阻害薬(Tac/CyA)及びインフリキシマブ(IFX)に関する背景因子及び治療成績の比較,2.手術例での背景因子,手術時期及び術後予後について検討した.背景因子として年齢,性別,臨床的重症度,Lichtiger index(LI),CRP,ステロイド依存性/抵抗性,免疫調節薬の有無等を検討した.【結果】1.rescue therapyとしてのTac/CyAまたはIFXの患者背景は,Tac/CyAでLIが高かった[13±3 vs 11±4(p=0.041)].Tac/CyAとIFXの有効率[66%(29/44) vs 50%(11/22)(p=0.212)],短期非手術率[77%(34/44) vs IFX81%(18/22)(p=0.212)]で差はみられなかった.2.手術例は非手術例と比べ,より重症例が多く[88%(15/17) vs 29%(22/75)(p<0.05)],CRP(mg/dl)[7.3±6.5 vs 4.0±4.8(p<0.05)]及びLI[14±3 vs 11±3(p<0.05)]も高かった.resucue therapy不応例の17/26(65%)で2nd rescueが行われ,非手術率はTac/CyA6/8(75%),IFX4/9(44%)だった.手術症例の17例のうち,内科治療中の重篤な有害事象は肺炎の1例のみだった.術後有害事象は8例に認められ,ステロイド治療例では半数以上[7/12(58.3%)]に有害事象が認められたが,再手術・死亡はなかった.【結論】2つのrescue therapy間の選択及び有効性には明らかな差が認められなかった.適切な症例を選べば2nd rescueも有効と考えられたが,ステロイド使用はリスクとなり注意が必要と考えられた. |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, 術後予後 |