セッション情報 |
シンポジウム2(消化器病学会・消化吸収学会合同)
IBDに対する内科的治療とその限界
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タイトル |
消S2-11:難治性潰瘍性大腸炎に対するTacrolimus,Infliximab,CAP療法の治療成績と粘膜スコア別再燃率の検討―多施設共同研究
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演者 |
池谷 賢太郎(浜松南病院・消化器病・IBDセンター) |
共同演者 |
杉本 健(浜松医大・1内科), 花井 洋行(浜松南病院・消化器病・IBDセンター) |
抄録 |
【目的】難治性潰瘍性大腸炎に対する治療オプションは急速に充実し,近年Tacrolimus,Infliximabが保険承認され,CAP療法における治療スケジュールの回数制限がなくなった.今回,Tacrolimus,Infliximab,intensive GMA,intensive LCAPの短期治療成績と中長期経過,寛解導入成功後の再燃と粘膜治癒との相関を明らかにすることを目的とした.【方法】ほぼ同時期にそれぞれの加療がなされた潰瘍性大腸炎患者163例を対象とした.内訳はTacrolimus群(T群)44例(治療導入時CAI:11.5±3.7),Infliximab群(I群)39例(CAI:8.8±3.2),intensive GMA群(G群)41例(CAI:11.2±3.3),intensive LCAP群(L群)39例(CAI:10.5±2.9).各治療群において寛解導入率,粘膜治癒率,臨床的寛解例の1年以内再燃率,再燃と粘膜治癒の相関について検討した(Mayo endoscopic index 0,1を粘膜治癒と定義).【成績】12週目時点での寛解導入率はT群65.9%,I群74.4%,G群73.2%,L群69.2%であり,各群間に有意差を認めなかった.治療後に内視鏡が実施された症例の粘膜治癒率はT群59.1%,I群31.3%,G群29.4%,L群35.0%であり,T群が他群より高い傾向を認めた.内視鏡スコア別1年以内の再燃率はT群ではMayo 0; 25%,1; 33%,2; 50%,3; 100%,I群ではMayo 0; 33%,1; 50%,2; 75%,3; 42.9%,G群ではMayo 0; 11.1%,1; 25%,2; 0%,3; 100%,L群ではMayo 0; 16.7%,1; 25%,2; 62.5%,3; 100%であり,粘膜所見と再燃率に相関傾向を認めた.T群,CAP群(G群+L群)において,粘膜非治癒例(Mayo 2,3)が治癒例(Mayo 0,1)に比し,有意に1年以内の再燃率が高かった(p=0.03, p=0.003).【結論】各治療とも良好な短期治療成績を認め,寛解導入療法後の内視鏡評価は再燃予測に有用であることが示された.臨床的寛解であっても粘膜非治癒の場合には再燃リスクが高く,粘膜治癒を目標に治療を行うことが肝要である. |
索引用語 |
難治性潰瘍性大腸炎, 粘膜治癒 |