セッション情報 |
シンポジウム2(消化器病学会・消化吸収学会合同)
IBDに対する内科的治療とその限界
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タイトル |
消S2-13:術後合併症からみた重症潰瘍性大腸炎における内科的治療の限界
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演者 |
木村 英明(横浜市立大市民総合医療センター・炎症性腸疾患センター) |
共同演者 |
国崎 玲子(横浜市立大市民総合医療センター・炎症性腸疾患センター), 遠藤 格(横浜市立大・消化器・腫瘍外科) |
抄録 |
【目的】重症潰瘍性大腸炎(UC)手術例の術後合併症からみた,重症UCにおける内科的治療の限界について明らかにする.【方法】対象は2000年1月から2012年12月の当科におけるUC初回手術例289例中,重症に対する手術例89例(31%)(男性54,女性35,手術時年齢37.7±16.1歳).手術適応は重症かつ内科治療無効40例,大量出血33例,中毒性巨大結腸症11例,穿孔5例.術後合併症の有無で術前因子を比較検討した.【成績】術式は大腸全摘,回腸嚢肛門管吻合(1期手術)28例(31%),前記+人工肛門造設4例(4%),結腸亜全摘,人工肛門造設56例(63%),大腸全摘,直腸切断1例.緊急,準緊急手術69例(78%).Clavien Grade3以上の術後合併症は20例(22%)(腸閉塞6,縫合不全,腹膜炎4,骨盤内膿瘍3,肺炎2,術後出血3,創し開2,心内膜炎1,1例重複あり)に認めた(以下,合併症群).重症化から手術までの内科治療は全例にステロイド投与がなされ,血球成分除去療法49例(55%),サイクロスポリン/タクロリムス(CyA/TAC)26例(29%)(2007年以前3/53例6%,2008年以降23/36例64%),インフリキシマブ0例.術前ステロイド総投与量Pred.3653±6053mg,重症化から手術までの内科治療期間28±22日,CyA/TAC投与期間は15±18日.合併症群の内科治療期間は35±24日,非合併症群は27±21日で,合併症群に内科治療期間30日以上の症例が有意に多かった.手術時年齢,性別,病型,術前治療内容(CyA/TAC使用の有無),術前ステロイド総投与量,直前1ヶ月投与量に差はなかった.【結論】CyA/TAC投与(平均15日)で術後合併症の増加はなかったが,重症化から手術までの内科治療期間30日以上の症例で術後合併症が増加した.個々の治療の限界を早期に判定することが重要であり,おおむね30日程度が重症例における内科的治療の限界と思われた. |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, 手術 |