セッション情報 |
シンポジウム2(消化器病学会・消化吸収学会合同)
IBDに対する内科的治療とその限界
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タイトル |
消S2-14:当科で緊急手術を施行された潰瘍性大腸炎症例の検討
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演者 |
小澤 毅士(東京大・腫瘍外科) |
共同演者 |
風間 伸介(東京大・腫瘍外科), 渡邉 聡明(東京大・腫瘍外科) |
抄録 |
【目的】近年,新たな治療薬剤の登場に伴い,潰瘍性大腸炎 (UC)に対する内科的治療の幅が広がったものの,外科的治療を要する例は少なからず存在する.本研究では,当科で緊急手術を施行したUC症例と,待機的手術を施行したUC症例を比較検討し,緊急手術症例の特徴を明らかにする.【方法】1989~2012年に,当科で手術を施行したUC 115例中,緊急手術23例 (20%)(緊急群)と,癌以外の待機的手術56例 (49%)(待機群)を比較検討した.【結果】緊急群の病型は全大腸炎型が22例 (96%),左側大腸炎型が1例 (4%)で,発症年齢22 (14‐61)歳,罹病期間2 (0.1-18)年であった.待機群の病型は全大腸炎型49例 (88%),左側大腸炎型7例 (12%)で,発症年齢21 (12-64)歳であった.罹病期間は7 (1-35)年であり,緊急群と比べ有意に長かった (p<.05).術前ステロイド総投与量は緊急群で4.4 (0.16-80)g,待機群で12 (0.36-47)gで,後者で有意に多かった(p<.01).ステロイド合併症は緊急群2例 (9%),待機群17例 (30%)に認め,後者で有意に多かった(<.05).緊急手術の適応の内訳は大量下血7例 (30%),中毒性巨大結腸症2例 (9%),穿孔3例 (13%),重症/劇症発作が11例 (48%)であった.重症/劇症発作例は,治療開始後16.5 (4-35)日で手術に至っており,1.頻回な血性下痢 2.腹痛 3.高度炎症所見 4.発熱のうち,3項目以上を満たす症例が6例 (54%),2項目が5例 (46%)で,また穿孔の可能性のある深掘れ潰瘍を4例 (36%)に認めた.白血球除去療法施行例は8例(35%)で,タクロリムスや抗TNFα製剤は,保険適用後の症例を1例認めたものの,使用されなかった.術後合併症は,緊急群14例 (60%),待機群19例 (34%)に認め,前者で有意に多かった (p<.05).【結論】緊急群は,待機群と比較して罹病期間が短く,手術時のステロイド総投与量,ステロイド合併症が少なかったものの,術後合併症が多かった.緊急手術の適応は約半数が重症/劇症発作で,治療開始後2週間程の経過で改善がみられない時に施行されていた. |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, 緊急手術 |