抄録 |
【はじめに】新潟市では平成15年度より希望者に対して内視鏡による胃がん施設検診を実施している。当検診は高危険群の設定や対象の集約をせずに行なわれているが、今回はその検診成績と精度管理について報告する。【検診成績】内視鏡検診者数とその胃がん施設検診に占める割合の変遷は、平成15年度8,118例(28.8%)、16年度11,679例(38.1%)、17年度17,647例(47.0%)、18年度23,882例(55.2%)、19年度28,757例(60.7%)、20年度32,883例(64.9%)、21年度35,383例(67.1%)と年々増加してきている。内視鏡による胃がん発見率は、平成15年度0.81%(66例)、16年度0.87%(102例)、17年度0.74%(131例)、18年度1.07%(255例)、19年度1.00%(287例)、20年度0.89%(294例)、21年度0.92%(325例)であった。さらに、平成15年度の検診結果を新潟県地域がん登録と照合し、死亡率減少効果を検討したところ、5年以内に死亡した胃がん死の全がん死に対する比率は、内視鏡検診受診者では男性8.2%、女性5.7%、X線検診受診者では男性9.6%、女性9.5%、検診未受診者では男性13.9%、女性13.1%であり、内視鏡検診の死亡率減少効果が明らかになった。【精度管理】当検診では最終診断の段階で日本消化器内視鏡学会認定の専門医(以下、専門医)による全内視鏡画像のダブルチェックを実施している。ダブルチェックは同一施設内に2名以上の専門医がいる施設の画像は施設内で、それ以外の施設の画像は市医師会メディカルセンターで週1回専門医による交代制のダブルチェックが行なわれている。ダブルチェックでは病変の有無のみならず、網羅性、撮影条件、前処置なども評価し、その評価に基づいた個別の指導が実施されている。その他、定期的な研修会の開催などを通じ、継続的に精度管理が行なわれている。【今後の課題】継続的な死亡率減少効果の検討、将来的な内視鏡検診対象者の絞り込みなどである。 |