セッション情報 シンポジウム4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

IgG4関連膵胆道疾患の診断と治療

タイトル 消S4-1:

自己免疫性膵炎国際コンセンサス診断基準と本邦改訂診断基準2011の検証

演者 丸山 真弘(信州大・消化器内科)
共同演者 渡邉 貴之(信州大・消化器内科), 川 茂幸(信州大総合健康安全センター)
抄録 【背景・目的】2011年に自己免疫性膵炎(AIP)の国際コンセンサス診断基準(ICDC)が提唱され,本邦ではICDCに準拠した改定診断基準2011(JPS-2011)が呈示された.ICDCおよびJPS-2011によりAIPの診断能は向上したのか,膵悪性腫瘍の除外が充分に可能かを検証した.【対象・方法】1992年~2012年の期間に,本邦の診断基準2006(JPS-2006),韓国の診断基準(Korean),アジア診断基準(Asian),Mayo Clinicの診断基準(HISORt),ICDC,JPS-2011の6種の何れかでAIPと診断された110人(男/女:84/26人,年齢中央値:66歳(38~85歳))を対象に,各種診断基準の診断能を比較検討した.次にAIPの限局性膵腫大例33人と,2000年~2012年の期間に臨床的にAIPと鑑別が問題となった膵悪性腫瘍の手術例31人(男/女:20/11人,年齢中央値:66歳(27~83歳),最終病理診断:通常型膵癌28人,膵内分泌腫瘍2人,膵管内乳頭粘液性腫瘍1人)を対象に,特異度を検討した.【結果】ICDCおよびJPS-2011の正診率は従来の診断基準に比べて向上した.各種診断基準の感度(%)は,JPS-2006:80.9,Korean:90.9,Asian:83.6,HISORt:85.4,ICDC:93.6,JPS-2011:90.9であった.従来の診断基準に比べ,ICDCおよびJPS-2011で感度が上昇した要因は,病理所見,画像所見と血清所見または膵外病変の組み合わせ,びまん性膵腫大例で膵管像所見が必要なくなった点であった.アルゴリズムに従った診断手順においては,ステロイド反応性の関与は乏しかった.AIPの限局性膵腫大例と膵悪性腫瘍における各種診断基準の特異度(%)は,Koreanで1例偽陽性を認めた以外は,何れも100%であった.【結論】ICDCおよびJPS-2011は従来の診断基準に比べ感度が上昇し,膵悪性腫瘍の除外も充分に可能で特異度も高く,診断能が向上した.
索引用語 自己免疫性膵炎, 診断基準