セッション情報 |
シンポジウム4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)
IgG4関連膵胆道疾患の診断と治療
|
タイトル |
内S4-2:自己免疫性膵炎診断におけるEUS-FNAの有用性
|
演者 |
奥野 充(岐阜大・1内科) |
共同演者 |
岩下 拓司(岐阜大・1内科), 安田 一朗(岐阜大・1内科) |
抄録 |
【背景】自己免疫性膵炎(AIP)の診断において,病理組織学的検討は膵癌との鑑別や確定診断のために重要である.EUS-FNAは安全かつ効率よく膵の病理検体を採取できるが,採取量に限界があるため,従来AIP診断における有用性については癌の否定を目的とした限定的なものとされてきた.【目的】19G針を用いたEUS-FNAによるAIPの病理組織検学的診断の可能性について検討する.【方法】2003年12月から2012年4月までに臨床的にAIPと診断され,かつ19G針でEUS-FNAを施行された52症例を対象とし,臨床・病理所見をretrospectiveに検討した.AIPの組織学的診断は自己免疫性膵炎臨床診断基準2011の病理所見診断項目を基準とした.【成績】男性43例,女性9例,年齢中央値62歳.主訴は腹痛19例,黄疸19例,体重減少3例,頸部リンパ節腫脹2例,その他9例.CTでの膵腫大部位は全体22例,頭部7例,体部2例,尾部3例,頭体部9例,体尾部6例,頭部と尾部3例.抗核抗体陽性(>40倍)19例(37%),高Amy血症(>180IU/L)11例(21%),血清IgG上昇(>1800mg/dl)29例(56%),血清IgG4上昇(>135mg/dl)45例(87%),病変部EUS所見は斑状・網目状高エコーを伴う低エコーを全例で認め,32例(62%)で被膜様構造を認めた.19G針を用いたFNAは全例で成功し,穿刺経路は経胃50例,経十二指腸2例,穿刺回数中央値は2回(1-4回),であった.検体量は4例で不十分であったが,残り48例の組織学的検討では,高度のリンパ球・形質細胞浸潤,線維化が44例(85%),IgG4陽性形質細胞浸潤が9例(17%),花筵状線維化が41例(79%),閉塞性静脈炎が23例(44%)に認められた.診断基準に従い,IVa基準(3項目以上)を満たし組織学的確診を得られた症例は25例(48%),IVb基準(2項目)を満たしたのは40例(77%)であった.検査後1例に一過性の腹痛を認めた.【結論】19G針を用いたEUS-FNAにより77%の症例においてAIPの臨床診断基準における病理組織学的診断項目を満たす診断が可能であった. |
索引用語 |
自己免疫性膵炎, EUS-FNA |