セッション情報 |
シンポジウム4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)
IgG4関連膵胆道疾患の診断と治療
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タイトル |
消S4-3:自己免疫性膵炎とpancreatic intraepithelial neoplasia (PanIN)病変との関連
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演者 |
塩見 英之(神戸大附属病院・消化器内科) |
共同演者 |
増田 充弘(神戸大附属病院・消化器内科), 久津見 弘(神戸大附属病院・消化器内科) |
抄録 |
[背景・目的]Focal typeの自己免疫性膵炎(AIP)と膵癌の鑑別にはUS, CT,MRI等の一般的な画像検査に加えて,ERCPやEUS-FNAによる細胞・組織学的検査が重要な役割を果たしている.近年,AIPの経過観察中に膵癌が合併するという報告,あるいは膵癌の前駆病変であるpancreatic intraepithelial neoplasia (PanIN)がAIP症例に存在するという報告がある.AIPにPanIN病変が合併することを考慮すると膵液細胞診の結果にPanIN病変が影響を及ぼしている可能性がある.そこで今回我々はAIP症例における細胞診の現状と癌との鑑別が困難で膵切除に至った症例におけるPanIN病変について検討した.[対象・方法]当院で経験したAIP症例41例(男性29例,女性12例,平均年齢63.4歳)を対象とし,膵液細胞診の成績と癌との鑑別が困難で切除に至った症例のPanIN病変について算出した.各症例における切除スライド数はそれぞれ30,24,20,16枚であった.[結果]AIP41症例のうちERCPにて膵液細胞診をおこなったものが28例,EUS-FNAにて細胞診をおこなったものが6例であった.ERCPによる膵液細胞診ではclassII以下は25例,classIII 3例,classIV 以上が0例であり,EUS-FNAではclassII以下 5例,classIII 1例,classIV 以上は0例あった.膵切除を行った4例は,3例は画像所見+class III,1例はclass IIであったが画像所見にて癌が否定できなかった.また,各症例において認めたPanIN Iは4/4(100%),PanIN IIは2/4(50%),PanIN IIIは1/4(25%)に認められ(4症例におけるPanIN I/II/IIIはそれぞれ,21/1/0,16 /2/1,13/0/0,10/0/0病変), PanIN II,IIIは末梢の分枝膵管内に認められた.[結論] AIPの切除標本中にはPanIN病変が存在し,膵液細胞診の結果において炎症性変化のみならず腫瘍性変化も加味して判断する必要性が示唆された. |
索引用語 |
自己免疫性膵炎, PanIN |