セッション情報 シンポジウム4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

IgG4関連膵胆道疾患の診断と治療

タイトル 消S4-4:

1型自己免疫性膵炎と膵癌の鑑別診断におけるIgG4陽性形質細胞に関する検討

演者 内田 一茂(関西医大・3内科(消化器肝臓内科))
共同演者 福井 由理(関西医大・3内科(消化器肝臓内科)), 岡崎 和一(関西医大・3内科(消化器肝臓内科))
抄録 【目的】1型自己免疫性膵炎(LPSP)のうち,限局性を呈する自己免疫性膵炎は膵癌との鑑別で苦慮する例が少なくない.2011年に公表されたIgG4関連包括診断基準では,IgG4/IgG陽性細胞比40%以上かつIgG4陽性細胞が10/HPFを超えるという項目がある.そこで我々は自験例において1型自己免疫性膵炎と膵癌とそれに伴う膵炎において浸潤するIgG4陽性細胞について検討した.【方法】1992年から2010年にかけて本学で手術された膵癌患者(PDA) 21例(女性7名,男性14名; 平均年齢67歳),LPSP 9例(女性5名,男性4名; 平均年齢65歳)を対象とした.方法はIgG,IgG4,Foxp3陽性細胞について免疫組織学的方法を用いて検討した.【成績】IgG4/IgG陽性細胞の比率はAIP 62.4%±5.9,癌部29.1%±4.5,膵癌隣接部位25.9%±5.4,膵癌上流の閉塞性膵炎21.0%±4.8とLPSPで有意に高値であった.IgG4陽性細胞数はLPSP 21.667±2.436,癌部5.183±1.061,膵癌隣接部位2.250±0.431,膵癌上流の閉塞性膵炎4.033±0.005個とLPSPが有意に高値であった.IgG4/IgG陽性細胞比40%以上の症例が癌部で21例中9例(43%),膵癌隣接部位で21例中6例(29%),膵癌上流の閉塞性膵炎で21例中3例(14%)認めた.IgG4/IgG陽性細胞比40%以上かつIgG4陽性細胞数が10/HPFを超える症例は膵癌上流の閉塞性膵炎で21例中1例(5%)に認めた.IgG4とFoxp3の相関関係は膵癌上流の閉塞性膵炎において相関関係が認められた(R=0.733).癌部,膵癌隣接部位では相関関係は認められなかった.【結論】膵癌と1型自己免疫性膵炎の鑑別においてIgG4/IgG陽性細胞比率およびIgG4陽性細胞数については注意が必要である.
索引用語 自己免疫性膵炎, 膵癌