セッション情報 シンポジウム4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

IgG4関連膵胆道疾患の診断と治療

タイトル 消S4-5:

IgG4関連硬化性胆管炎の診断と治療

演者 内藤 格(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
共同演者 中沢 貴宏(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 城 卓志(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
抄録 【目的】IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)は様々な胆管像を呈するIgG4関連疾患の胆管病変として考えられており,近年,診断基準2012が本邦より提唱された.また,胆管像が類似する原発性硬化性胆管炎(PSC),胆管癌(CC),膵癌(PC)は重要な鑑別疾患である.今回我々はIgG4-SCとPSC,CC,PCの相違点を明らかにする目的で検討を行なった.【方法】IgG4-SC75例,PSC46例,CC53例,PC61例を対象とし,胆管像,IDUS像,血液像,他臓器病変,病理像(胆管生検,肝生検),ステロイド反応性,2012診断基準診断能につき検討を行なった.【成績】1)胆管像(IgG4-SC vs PSC):IgG4-SCに有意な所見としてsegmental stricture,long stricture,下部胆管狭窄(p<0.001),PSCに有意な所見として,帯状狭窄,数珠状所見,剪定状所見,憩室様所見 (p<0.001)を認めた.2)血液像:IgG4値はIgG4-SC 633mg/dl,PSC 54mg/dl,CC 59mg/dl,PC 53mg/dlとIgG4-SCで有意に高値であり(p<0.001),高IgG4血症はIgG4-SC88%,PSC4%,CC15%,PC6%と,IgG4-SCで有意に高頻度に認めた(p<0.001).3)他臓器病変:IgG4-SCで自己免疫性膵炎を95%,硬化性唾液腺炎を17%,後腹膜線維症を12%に認めたが,PSC,CC,PCでは上記3病変とも認めなかった.また,炎症性腸疾患の合併をPSCに54%認めたが,IgG4-SC,CC,PCには認めなかった.4)病理像: IgG4-SCに対する経乳頭的胆管生検ではで強拡大1視野10個以上のIgG4陽性形質細胞浸潤を21%(6/28)に,肝生検では26%(5/19)に認めた.IgG4-SCに対する肝生検ではPSCより有意に多数のIgG4陽性形質細胞浸潤を認めた(7.2個vs0.4個/強拡大1視野;p<0.001).5)ステロイド反応性:IgG4-SCの48/50(98%)でステロイドの反応性は良好であったが,PSC1例では反応を認めなかった.6)診断基準2012診断能:IgG4測定可能であった症例のIgG4-SC診断能は感度95%(55/58),特異度100%(113/113)であった.【結論】IgG4-SCとPSC,CC,IgG4-SCの臨床像は異なり,IgG4-SC診断において診断基準2012は有用であると考えられた.
索引用語 IgG4関連疾患, IgG4関連硬化性胆管炎