セッション情報 |
シンポジウム4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)
IgG4関連膵胆道疾患の診断と治療
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タイトル |
消S4-7:自己免疫性膵炎のステロイド治療の現状と問題点
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演者 |
田畑 拓久(がん・感染症センター都立駒込病院・内視鏡科) |
共同演者 |
来間 佐和子(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 神澤 輝実(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】自己免疫性膵炎(AIP)はステロイド治療が奏効するが,ステロイドの減量中や維持療法中あるいは中止後に再燃する例がある.AIPのステロイド治療の現状と問題点について検討する.【方法】1998年4月~2012年12月までの間に当科で診断されたAIP 83例(平均年齢64.2歳,男女比 1:0.3)を対象とし,その治療概要,維持療法の有無,再燃例の特徴や再燃形式,血中IgG4値の推移,再燃例に対する治療と予後について検討した.【成績】1)初期治療は外科的膵切除10例(12%),バイパス術5例(6%),ステロイド治療49例(60%),無治療経過観察19例(22%)であった.経過観察の5例は病態悪化のためステロイド治療が行われ,膵切除を受けた4例も再燃予防でステロイド治療が行われた.2)再燃を7例に認めた.再燃形式は膵腫大2例,膵腫大と下部胆管狭窄1例,膵腫大と中・下部胆管狭窄1例,上・中部胆管狭窄1例,肝門部胆管狭窄1例,唾液腺腫大1例であった.ステロイド治療開始から再燃までの期間は4月~2年10月で,ステロイド減量中が1例,維持療法中が2例,中止後が3例であった.3)再燃例ではステロイドの再投与または増量が行われ,全例で改善が得られた.4)再燃例と非再燃例の比較では,びまん性膵腫大を呈した例で有意に再燃が多かったが(p<0.05),血中IgG4値,膵外病変や維持療法の有無に関して有意差は見られなかった.5)IgG4値は初回ステロイド治療後に全例で減少が認められたが,再燃例では75%が正常化に至らなかった.また,再燃に先立って4例で血中IgG4値の再上昇を認めたが,再治療により減少に転じた.6)長期経過例では2例に膵石の形成を認めた.【結論】ステロイド治療を行ったAIPの12%で再燃がみられ,膵以外の臓器に異所性に再発する例もある.再燃例ではステロイドの増量または再投与が有効で,血中IgG4値の再上昇は再燃の予知指標の一助となりうる.長期経過例では不可逆性の変化をきたす例があり,再燃は防止した方がよい. |
索引用語 |
自己免疫性膵炎, 再燃 |