セッション情報 |
シンポジウム4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)
IgG4関連膵胆道疾患の診断と治療
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タイトル |
消S4-8:3年以上の維持療法後にステロイドを中止した自己免疫性膵炎の予後の検討
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演者 |
平野 賢二(東京大・消化器内科) |
共同演者 |
多田 稔(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科) |
抄録 |
【背景】自己免疫性膵炎(AIP)ではガイドライン上,3年以上のステロイド維持療法が推奨されているものの,3年経過後に本当にステロイドを中止しても安全か否かについてはエビデンスに乏しい.【対象と方法】1)ステロイド(PSL)治療を3年以上受け無再燃で経過している,2)直近1年以上,PSL5mg/日以下で維持され,かつIgG 1600 mg/dl未満を保っている,の2条件を満たしたAIP21例(平均発症年齢61歳,男:女=18:3)を対象としてPSLを計画的に減量,中止し前向きに経過観察した.膵内外の病変を問わずPSL再開を伴う病態が出現した場合を臨床的再燃,IgG>1600mg/dlに上昇したが,症状も画像所見も伴わないものを血清学的再燃,いずれにも該当しない場合を無再燃と定義した.【結果】PSL減量後の平均観察期間は26カ月であり,無再燃が9例であった.4例は血清学的再燃を経ることなく臨床的再燃を来たし,2例は膵病変の再燃,1例は冠動脈周囲炎,1例は喘息の悪化のためPSLを再導入した.8例で血清学再燃を来たし,うち3例はその後臨床的再燃に至った.1例は膵病変,1例は後腹膜,肺,唾液腺病変,1例は冠動脈周囲炎による再燃であった.臨床的再燃に至った7例において,PSL減量開始からの期間は平均20カ月(6~31カ月)であった.因果関係は不明であるが,無再燃9例のうち2例で発癌(胃癌1例,舌癌1例)が認められ,血清学的再燃1例で再燃4か月前に虚血性小腸炎により小腸切除が必要となった【結論】厳選した好条件の21例に対象を絞ってもPSL中止後の臨床的再燃率は33%に達していた.長期のPSL維持療法を行っている患者においてもPSL中止後の予後は楽観できないことが示唆された. |
索引用語 |
自己免疫性膵炎, ステロイド |