セッション情報 シンポジウム4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

IgG4関連膵胆道疾患の診断と治療

タイトル 消S4-9追:

自己免疫膵炎ステロイド治療後の再燃に関わる因子の検討

演者 北村 和哉(金沢大附属病院・消化器内科)
共同演者 加賀谷 尚史(金沢大附属病院・消化器内科), 金子 周一(金沢大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】自己免疫性膵炎治療において,ステロイドを用いた寛解導入療法に関しては一定のコンセンサスが得られているが,ステロイド維持療法に関しては,適応症例,維持量ならびに維持期間など,不明な点も多い.今回我々は,これらを明らかにするため,自己免疫性膵炎ステロイド治療後の再燃に関わる因子を検討した.【方法】1995年より2012年までに,当科ならびに関連施設にて診断された自己免疫性膵炎症例85例のうち,ステロイド治療を受け,経過の明らかな60例(男性 48例,女性 12例,平均年齢63.1歳)を対象とした.再燃の有無で対象を2群に分け,患者背景,初回および維持のステロイド量,血清IgG4値,膵腫大の範囲,膵外病変の有無を比較した.さらに再燃をエンドポイントとして,カプランマイヤー法(ログランク検定)およびCox比例ハザードモデルにて,再燃に関わる因子を検討した.【結果】60例中15例(25%)に再燃を認めた.再燃群では,非再燃群に比し,有意に平均年齢が低く(p=0.041),維持療法に用いたステロイド量が少なかった(p=0.0006).またびまん性膵腫大を呈した割合が有意に高く(p=0.018),血清IgG4値が高い傾向にあった(p=0.074).性別や初回ステロイド量,膵外病変の有無に差は認めなかった.カプランマイヤー法(ログランク検定)による検討では,6ヵ月以上の維持療法なし(p=0.0002),びまん性膵腫大あり(p=0.018)で有意に再発率が高く,60歳以上で再発率が低い傾向を認めた(p=0.089).単変量で有意差を認めた年齢,維持療法に用いたステロイド量,および血清IgG4値を用いて,Cox比例ハザードモデルで多変量解析を行ったところ,何れの因子も有意に再燃に関与し,ハザード比はそれぞれ0.934,0.620,1.002であった.【結語】本検討では,ステロイドによる維持療法の重要性が改めて明らかとなった.加えて,再燃の予測に,発症時年齢,治療開始前の血清IgG4値,ならびにびまん性膵腫大の有無が参考になる可能性が示唆された.
索引用語 自己免疫性膵炎, IgG4