セッション情報 シンポジウム4(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

IgG4関連膵胆道疾患の診断と治療

タイトル 内S4-12追:

AIP診療におけるEUS画像診断の役割―特徴と経過―

演者 佐藤 愛(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科)
共同演者 入澤 篤志(福島県立医大会津医療センター・消化器内科学), 大平 弘正(福島県立医大・消化器・リウマチ膠原病内科)
抄録 【背景・目的】EUS-FNAやcore生検 はAIP診断において癌との鑑別のみならず病理診断を可能にする手段として有用性が高い.一方でEUSは最も高解像度のmodalityであるにも関わらずその所見自体が診療に生かされているとは言い難い.今回AIPのEUS画像の特徴と有用性につき検討した.【方法】AIP32例(type1 30例,type2 2例,M:F=27:5,平均58.0歳)の初回診断時と経過観察時のEUSの画像所見につき既報の慢性膵炎(CP)やAIPのEUS所見から以下のcriteriaを設けて検討した:1)点状/斑状高エコー, 2)索状高エコー, 3)分葉エコー様所見, 4)辺縁不規則エコー, 5)hypoechoic rim, 6)膵腫大, 7)mass様所見, 8)胆道系の壁肥厚(ステント留置後を除く), 9)cyst.【結果】(1)初回観察時の所見:1)77.4%, 2) 74.2%, 3)64.5 %, 4)77.4%, 5) 32.2%,6)80.6%, 7)74.2%, 8)69.2%, 9)6.5%にみられた.CPと異なり大きな斑状高エコーが目立ち,「分葉エコー様」は索状高エコーに完全に囲まれた領域ではなく低エコー領域内にひびが入った様な「亀甲模様」であった.また,CPでは萎縮を表す4)はAIPでは腫大に伴い観察された.type1と2で画像所見に差はみられなかった.(2)治療後経過観察時の所見:14例でEUSによる追跡(ステロイド導入後0.4~7年)を行った.再燃兆候のない1年未満の2例では部位により腫大と萎縮が認められ,ステロイドへの反応は均一でない事が示唆された.1年以上の経過例では点状/斑状高エコーは全例で点状高エコーのみとなり,索状高エコーの残存と萎縮が全例でみられ,経過と共に所見の種類,密度が減少した.また2例(2年,7年)で萎縮以外ほぼ正常実質となった.再燃2例(4.7年,3年)では初診時同様の所見が出現した.膵石やCP確診に移行した症例はなかった.【まとめ】初回所見は早期CPとは異なる特徴的な画像を呈し,治療で萎縮する一方,他の所見は多くで軽快した.再燃時は初診時同様の所見が認められ,EUSは活動性や経過を評価できる可能性が示唆された.
索引用語 自己免疫性膵炎, 超音波内視鏡