セッション情報 |
シンポジウム6(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
大腸内視鏡検診の評価の現状と今後の課題
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タイトル |
消S6-1指:大腸内視鏡検査による大腸がん検診の有効性評価研究-Akita study-
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演者 |
児玉 健太(昭和大横浜市北部病院・消化器センター) |
共同演者 |
工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 斎藤 博(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター) |
抄録 |
【はじめに】近年screening sigmoidoscopyによる大腸癌死亡率の減少効果が報告されてきている.大腸内視鏡検査(TCS)は大腸がんにおいて感度・特異度ともに最も高い検査と考えられるため,TCS検診はさらに高い死亡率減少効果が期待されるがそのエビデンスは明らかでない.そこでわれわれはTCS検診による大腸がん検診の有効性評価を目的としたランダム化比較試験(RCT)を開始した.【方法】研究参加に応諾した40~74歳の男女10,000人を対象とし,逐年便潜血検査群(FOBT群;非介入群)と,逐年FOBTに1回の検診TCSを併用する介入群を無作為割付により設定する.各群10年間の経過観察を行い,プライマリ・エンドポイントは大腸がん死亡率,セカンダリ・エンドポイントとして累積進行がん罹患率,累積浸潤がん罹患率,大腸がんに対する精度(感度・特異度)を比較する.内視鏡は前処置を含めて侵襲性が問題とされるため同時に偶発症・苦痛度のモニタリングも行う.2009年6月,秋田県仙北市を対象地域として研究は開始され,参加者確保のため2011年4月より大仙市に対象地域を拡大している.【成績】2012年12月までに5001名から参加同意が得られ,性・年齢別構成など2群は均等に割りつけられていた.介入群におけるTCS同意率は93.5%とコンプライアンスも良好であり盲腸到達率は99.6%であった.盲腸到達時間・抜去時間の最頻値はそれぞれ5分,10分と処理能力にも大きな問題はみられていない.検診TCSにおける偶発症は認めていない.【結論】TCS検診のRCTを開始した.日本で初めての死亡率を指標としたphase3の検診RCTである.現在欧米でもTCSによる検診の効果を評価するRCTが行われているが,TCSの効果をみるためのランダム化は本試験が最も優れており,また内視鏡診断の質という点でも本邦で行う意義は大きい.研究参加者を十分確保し,試験を完遂させることが重要である. |
索引用語 |
大腸内視鏡検査, ランダム化比較試験 |