セッション情報 シンポジウム6(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

大腸内視鏡検診の評価の現状と今後の課題

タイトル 内S6-2:

離島における大腸内視鏡を用いた対策型大腸がん検診の試み:新島STUDY

演者 堀田 欣一(静岡がんセンター・内視鏡科)
共同演者 松田 尚久(国立がん研究センター中央病院・内視鏡科), 角川 康夫(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター)
抄録 【目的】本邦において対策型検診として便潜血反応検査が行われているが,受診率の低さが最も重要な問題点として挙げられている.我々は,大腸がん検診受診率の低い離島をモデルに大腸内視鏡を取り入れた対策型大腸がん検診を試み,積極的な呼びかけにより検診受診率の向上を得ることを目的として前向き試験を実施した.【方法】東京都新島村在住の年齢が40-79歳の1,671名を対象とした.毎月1回(1年間)広報誌を用いて大腸がん検診の啓発活動を行った後に,検診の呼びかけを行った.大腸内視鏡を第一選択の検査として推奨し,希望者には便潜血反応検査のみの受診も選択可能とした.2011年7月-2012年9月にかけて検診を実施した.主要評価項目は検診受診率とし,50%の達成を目標とした.また,大腸内視鏡検診の安全性,発見病変等を副次的に評価した.検査は観察のみで,内視鏡治療は後日,実施した.なお,本研究は厚生労働科学研究費補助金(がん臨床研究事業)の一環として実施した.【成績】全期間において対象の46.9%である783名が大腸癌検診を受診した.そのうち,614名(全体の36.7%)が大腸内視鏡を受診した.また,便潜血反応のみの受診は169名(全体の10.2%)であった.内視鏡検査に伴う偶発症は1例もなく,腺腫性ポリープが314名(51.1%)に認められた.そのうち要治療の5mm以上の腺腫性ポリープは182名(29.6%),10mm以上の腺腫性ポリープおよび癌を疑う病変(index lesion)は83名(13.5%)に発見された.現在まで治療を終了した対象者のうち3名にpSM癌,17名にpM癌が含まれていた.【結論】離島において積極的な啓発活動を行うことにより,50%近い高い大腸がん検診受診率を実現可能であった.大腸内視鏡検査を第一選択として推奨することにより受診者の78.4%が大腸内視鏡を選択した.大腸内視鏡検診は安全に実施され,極めて高い腺腫発見率,要治療病変発見率,index lesion発見率が得られた.
索引用語 大腸がん検診, 大腸内視鏡