セッション情報 シンポジウム6(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

大腸内視鏡検診の評価の現状と今後の課題

タイトル 内S6-3:

大腸癌検診におけるscreening colonoscopyの有用性評価

演者 宅間 健介(亀田メディカルセンター幕張・消化器科)
共同演者 和田 亮一(亀田メディカルセンター幕張・消化器科), 光島 徹(亀田メディカルセンター幕張・消化器科)
抄録 【目的】大腸内視鏡は診断・治療による癌罹患率・死亡率低減の有効性が報告されている検査法であり,我々は任意型検診である人間ドック受診者を対象とし全大腸をスクリーニング法とするscreening colonoscopy(SCS)を28年にわたり実施してきた.今回SCSの癌検診としての有用性と対策型検診として普及している便潜血検査の精度を比較評価しSCSの在り方を考察する.【方法】1.当院任意型人間ドックにて2007年4月から5年間にSCSが行われた無症候・初回例の2970名(平均年齢51.9歳)を対象とし,発見された大腸腫瘍の特徴を分析した.2.これらのうちSCS同日に免疫学的便潜血検査(1日法)が施行された2288名の分析を行い腫瘍性病変に対する感度を評価した.【結果】1.SCSで発見された大腸癌は24例(0.8%),そのうち早期癌は70.8%(m:10例,sm:7例)であった.存在部位は直腸20.8%,S状結腸62.5%,下行結腸4.2%,横行結腸8.3%,上行結腸4.2%であった.大腸腺腫は914例(30.1%)であった.そのうち内視鏡治療適応病変は301例(10.1%)396病変(6mm以上10mm未満288病変,10mm以上109病変)を認め,肉眼形態別ではIp型12.6%,Is・Isp型71.7%,IIa型14.1%,存在部位は直腸9.6%,S状結腸42.1%,下行結腸6.3%,横行結腸16.9%,上行結腸19.4%,盲腸5.6%であった.発見された癌・治療適応腺腫の平均年齢は58.8歳・55.4歳で,50歳以上の割合は95.8%・76.8%であった.2.発見された癌のうち便潜血検査の感度は43.5%であり,深達度別では進行癌85.7%,早期癌25.0%であった.腺腫の腫瘍径別感度では6mm未満7.3%,6mm以上10mm未満11.3%,10mm以上17.0%であった.【結論】SCSで発見された腫瘍性病変は50歳以上に多く全大腸にわたり,癌は早期癌の比率が高かった.現在のドック受診世代の無症候性大腸腫瘍の自然分布を示していると考えられた.治療適応病変に対する便潜血検査感度は不十分であり,特に早期癌の偽陰性率の高さは無視できず,50歳以上の受診者にはSCSとの組み合わせが重要と考える.
索引用語 大腸癌検診, screening colonoscopy