セッション情報 |
シンポジウム6(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
大腸内視鏡検診の評価の現状と今後の課題
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タイトル |
消S6-4指:大腸内視鏡施行後,十年以内に浸潤癌が発見された症例の検討
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演者 |
山地 裕(東京大・消化器内科) |
共同演者 |
吉田 俊太郎(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】大腸内視鏡検診の受診間隔を長くすることによる最大の不利益は,中間期癌の発生であり,とりわけそれによる死亡は,費用効果バランスに大きく影響する重要なアウトカムと考えられる.治療を担当する病院側の立場から,大腸内視鏡施行後十年以内に発見された大腸浸潤癌の症例について,特に死亡例における特徴を検討した.【方法】1995年9月から2012年8月までの17年間に施行された大腸内視鏡検査で,既往の検査歴が判明している19942件の検査で発見された,過去10年以内に大腸内視鏡検査歴のある,浸潤癌症例について検討した.患者背景,病変,前回の検査内容などの特徴につき,特に死亡との関連について検討を行った.【成績】該当する症例は18例で,9例(50%)が死亡していた.18例中男性12例,年齢60代8例,70代6例,80代4例で,何らかの癌の既往を持つ者が14例(78%)と多くみられた.部位は盲腸2例,上行5例,横行3例,下行0例,S状2例,直腸6例で,右側結腸と直腸に多かった.前回検査からの間隔は,1年未満3例,1年以上2年未満3例,2~3年3例,3~5年3例,5~7年4例,8年以上2例であった.前回検査所見で11例(61%)にポリープを認め,2例は未処置のポリープから発生した可能性があった.また1例は盲腸非到達例で注腸が施行されていた.死亡例でみられた傾向としては,右側結腸に多く(7/9対3/9,p=0.07),受診間隔がやや長かった(4.1年対2.7年,p=0.27).併存疾患のため治療が制限された者4例,他病死4例,複数の大腸癌切除歴1例,前回盲腸非到達1例で,いずれの条件もない者は1例のみで,異常なしの結果後8.4年で発見された上行結腸癌多臓器転移で,胆管癌根治切除後8年の症例であった.【結論】大腸内視鏡施行後10年以内の大腸癌死亡は,併存疾患や既往歴にリスクのない者では,非常に少ないと思われた.ただし,精度の高い検討のためには,多施設による大規模な調査が必要であると考えられる. |
索引用語 |
大腸内視鏡検診, 中間期癌 |