セッション情報 シンポジウム6(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

大腸内視鏡検診の評価の現状と今後の課題

タイトル 内S6-5:

全大腸内視鏡検査による大腸腫瘍の長期観察例での至適サーベイランスに関する検討

演者 岡田 千津子(自衛隊中央病院・内科DELIMITER自衛隊横須賀病院)
共同演者 箱崎 幸也(自衛隊中央病院・内科), 川久保 実和(自衛隊中央病院・内科DELIMITER川久保病院)
抄録 【目的】40・50歳代男性での全大腸内視鏡検査(total colonoscopy;TCS)で5年以上経過観察し得た症例をもとに至適サーベイランス・プログラムを検討した.
【方法】1985年~2004年に初回TCSを実施し,5年以上経過観察出来た1267例(年齢中央値:46歳,男性:94%)を対象とした.初回所見にて正常群,微小腺腫群,腺腫群,癌腫群に分類し,5mm以上腺腫/癌腫発生の危険因子や累積発生率を検討した.腺腫/癌腫群では初回TCSで5mm以上腫瘍を全てEMR等で切除した.初回TCS時の10mm以上腺腫/癌腫の占める割合7.5%を許容範囲内として至適サーベイランス時期を検討した.
【結果】1.腺腫群は正常群に比較し異時性腫瘍発生率がやや高率であったが累積腫瘍発生率に有意差はなかった.2.経過観察中の5mm以上の腺腫/癌腫病変発生との関連について,単変量解析を実施した.年齢(50歳代),病変数(2個以上),腫瘍径(5mm以上),病変占拠部位で有意差を認めた.Cox比例ハザードモデルによる多変量解析では,年齢50歳以上,初回TCSで腫瘍径5mm以上かつ2個以上の2項目が,独立危険因子であった.3.初回TCSの径5mm以上の腫瘍の個数によってA 40歳代で1個以下(n=785),B 40歳代で2個以上(n=120),C 50歳代で1個以下(n=292),D 50歳代で2個以上(n=70),の4群に分類し5mm以上の腫瘍性病変の累積発生率を検討した.2個以上のB・D群の累積腫瘍発生率は1個以下のA・C群に比し有意に高率であった.1個以下の群間および2個以上の群間の比較では年齢による有意差はみられなかった.4.危険因子別の累積発生率から許容範囲7.5%となるのは,50歳代で腫瘍が2個以上症例では3.2年,40歳代症例や50歳代で腫瘍1個以下症例では4.6~7.6年であった.
【結論】男性・50歳代で5mm以上腫瘍が2個以上の症例なら3年毎TCS,40歳代と50歳代でも1個以下腫瘍例では5年毎のサーベイランスTCSが推奨された.
索引用語 大腸腫瘍, サーベイランス